タイの政府が管理する仮想通貨プロジェクト「Project Inthanon(Inthanonプロジェクト)」

 

この記事のポイント

■Project Inthanonはタイの中央銀行が主導
■ブロックチェーン技術に基づいた中央銀行のデジタル通貨パイプライン
■国内銀行間における決済の迅速化と経費削減を目的

Project Inthanonとは?

Project Inthanon(Inthanonプロジェクト)とは、タイの政府が管理する仮想通貨関連のプロジェクトで、タイ中央銀行が主導となって進められています。Project Inthanonでは、ブロックチェーン技術を活用することによってタイ中央銀行でデジタル通貨を使用できるような環境整備を行っています。こうしたプロジェクトは各国で開発がすすめられていますが、Project Inthanonの場合には顧客向けのサービスとして開発が行われているわけではなく、その前段階となる銀行間での送金にデジタル通貨を使うことを目的としたプロジェクト開発が行われているという特徴があります。

長期的な展望の元に開発が進む

Project Inthanonでは、タイの中央銀行はCBDCと呼ばれる卸売中央銀行のデジタル通貨を開発し、そのトークンを国内銀行間システム内で利用することを検討しています。例えば銀行間の業務処理や送金などにデジタル通貨を導入すれば、決済が従来よりも迅速かつ安価にできるだけでなく、データの透明化や公正化も大きく高まることが期待されているわけです。
そのため、Project Inthanonはとにかくすぐに開発を行って実用化したいというプロジェクトというよりは、バックオフィス業務の潜在的な可能性を探りながら長期的により大きなメリットを得るための方法として模索しながら進められています。現在はすでに、Project Inthanonの一部としてブロックチェーンを使って債権の発行をする概念実証プロジェクトが実用化に近い段階まで完成していると報告されているため、Project Inthanonは確実に前進していると言えるでしょう。

複数の企業や機関が参加

Project Inthanonは、タイ中央銀行が単独で開発しているプロジェクトではありません。タイ国内の14の銀行、タイ中央銀行、国営企業7社など、タイ国内においては巨大な規模を誇る機関がこぞってこのプロジェクトに参加しています。このプロジェクトで最初に開発されたシステムは、元朝に対する電子書簡を発行するというシステムでしたが、複数の銀行や機関が一つのプラットフォームを共有できるという点で高評価でした。