Investment Company Act of 1940(1940年投資会社法)は日本投資会社にとって高いハードル

米国のヘッジファンドなどに投資している企業は、1940年投資会社法(Investment Company Act of 1940)の規制を遵守しなければなりません。ただしこの投資会社法の内容は極めて複雑で、熟練の日本投資グループでも解釈や適用に悩むことがあります。

この記事のポイント
・米国1940年投資会社法とは
・1940年投資会社法の対象となる投資会社
・米証券取引委員会(SEC)による法改正について

米国1940年投資会社法とは

米国1940年投資会社法の基本解釈としては、米国におけるミューチュアルファンド(日本の投資信託に相当)を始めとする投資ファンドを規制するための法律であること。そして投資会社は複雑な登録や規制条件が科されていて、それに対応するためには対象となる投資会社に膨大なコスト負担が生じ、かつビジネスオペレーションを適応させること自体も難題となっていると言われています。

登録や規制条件をクリアしていない投資会社は、アメリカで州際通商(郵便サービスや電子取引の利用など)に携わることができない規則となっていて、日本の投資会社にとってはハードルの高い法律だと言えるでしょう。

1940年投資会社法の対象となる投資会社

対象となる投資会社とは以下の条件によります。
証券投資ビジネスをメインとしている会社
・証券に(を)投資・所有・保有するビジネスを行っている会社で、総資産価値の40%以上の投資証券を所有している会社

ただしこの法律の適用は幅が広く、適用除外の認可を受けない限りは基本的に登録必要の扱いとなる点も難しいところとされています。つまり現行するVCファンドやPEファンド、プライベートファンドでさえも投資会社の定義に充当することになります。日本の投資会社は適用外・登録免除の認可を得るかどうかでも、事業の成功率が変わってしまうとの見解もあります。

米証券取引委員会(SEC)による法改正について

2010年度にSECは1940年投資会社法の改正を行って、マネーマーケットファンド(MMF)の既存リスクを回避するよう対策を進めています。この法改正によって2008年に発生した流動性の鈍化のリスクが改善されています。

この改正では、まず流動性アップのために有価証券の加重平均満期(WAM)を90日から60日としています。また変動NAVを適用して、余剰資本引き上げの義務付け・償還金の受領制限も行っています。ただし変動NAVを義務化すれば、過剰規制となって投資会社の負担が重くなりすぎるという懸念も出されています。