食品追跡システムとして実用化、IBM Food Trust(IBMフードトラスト)

この記事のポイント

■ブロックチェーンの特許や実証実験が充実したIBMによって開発
■食の安全と消費者の安心感の向上を目的とした食品追跡システム
■収穫、梱包、輸送、販売まですべてのプロセスの透明化

IBM Food Trustとは?

IBM Food Trust(IBMフードトラスト)とは、ブロックチェーン技術を用いてスーパーなどに並ぶ食品のこれまでの軌跡を追跡できるシステムです。これは、ブロックチェーン技術においては実証実験や特許出願数が他社と比べると圧倒的に多いIBM社が開発したシステムで、18カ月という長いテスト期間を経た上に実用化・商業化されました。こうした食品追跡システムの研究開発は他社でも行われていますが、実用化するまでの道のりはとても長く、IBMが開発したIBM Food Trustは、そうした競合を退けての初の実用化となりました。

エコシステム全体にメリットが期待

IBM Food Trustシステムを利用すると、特定の食品について収穫された段階から梱包、輸送、そして販売に至るまでの情報をすべてデジタルデータとして記録することが可能となります。食の安全性を高めるだけでなく、情報の透明化や効率性を高めることにもつながるため、消費者にとっては大きな安心感を得ることができるシステムになってくれると期待が寄せられています。

このシステムは、フランスの小売り大手であるカルフールグループも参画していて、大企業から中小企業まで毎月100ドル程度の登録料を支払うことによって利用が可能となります。リーズナブルな価格で利用できるという点は、企業側にとっても大きなメリットが期待できるでしょう。ちなみに、カルフールグループが本拠とするフランスは世界の中でも農業大国として知られています。カルフールは33カ国に展開して1万2000店舗以上を展開している巨大グローバルグループのため、カルフールの影響によって今後は世界規模でIBM Food Trustシステムが普及するのではないかと期待が高まっています

参加企業は多い

IBM Food Trustシステムに参画している企業は他にもたくさんあります。例えばアメリカを拠点にグローバルな展開をしているWalmartやタイソンフーズ、ネスレ、ユニリーバなどでもブロックチェーン技術を採用した食品追跡システムや配送システムを導入しています。その中でもウォルマートは最新技術を積極的に導入する企業として知られていて、IBM Food Trustシステム以外にも、ロボットやドローンを使った配達システムを開発するなど、人材不足の解消やプロセスの迅速化及び効率化に努めています