価格操作など不正からユーザーを守る「仮想通貨消費者保護法案2018(The Virtual Currency Consumer Protection Act of 2018)」

 

「仮想通貨消費者保護法案2018(The Virtual Currency Consumer Protection Act of 2018)」とは、2018年12月に発表された仮想通貨の不正操作から消費者を保護するための法案です。民主党と共和党の2人の議員が、党派を超えて共同で発表したことで注目を集めています。

仮想通貨消費者保護法案2018(Virtual Currency Consumer Protection Act of 2018)の背景

・仮想通貨取引所3社に違法営業の疑い
・3社が州の調査を拒否
・ボットで価格を操作しているとの報道

仮想通貨取引所3社に違法営業の疑い

アメリカの民主党と共和党、ふだんなら対立する両党の議員が、価格操作など仮想通貨の不正から消費者を守るため、仮想通貨を規制するための法案を発表したことで注目を集めています。その背景にあるのが、2018年9月、ニューヨーク州司法長官が、州内において少なくとも3社の仮想通貨交換業者が違法な運営を行っていると発表したことです。その疑いのある「バイナンス」「ゲート」「クラケン」の3社への対応は、ニューヨーク州の金融サービス局(DFS)に委ねられています。州司法長官によると、証券取引所でも仮想通貨取引所でも、ニューヨーク州民には投資の際に説明責任と透明性が確保されるべきであるが、多くの仮想通貨取引所はそれに必要な手順も規則も欠けているとのことです。

3社が州の調査を拒否

世界中の仮想通貨の時価総額ランキングを掲載する「CoinMarketCap」によると、バイナンスの取引高は世界でトップであり、14位にクラケン、27位にゲートがランクインしています。この3社を含め、仮想通貨取引所を運営する計13社に対し、2018年4月、ニューヨーク州司法当局は、価格操作など不正行為に対する予防策について調査を行いました。このうち9社は調査に応じたものの、上記の3社と合わせて計4社がニューヨーク州では取引を行っていないと主張したとのことです。クラケンのCEOに至っては、Twitterで司法当局を批判する内容のツイートを投稿しています。

ボットで価格を操作しているとの報道

こうした状況を受けて、2018年12月、民主党のDarren Soto議員と共和党のTed Budd議員は共同で、仮想通貨消費者保護法案2018(Virtual Currency Consumer Protection Act of 2018)を含む二つの法案を発表しました。先のニューヨーク州司法長官の報告書のほか、仮想通貨の価格はボットによって操作されているというメディアの報道も背景にあるのでしょう。