仮想通貨を利用したマネーロンダリングの状況をまとめた犯罪収益移転危険度調査書




 

犯罪収益移転危険度調査書とは、マネーロンダリングやテロ資金供与のリスクをまとめた警察庁の報告書です。ITや仮想通貨の普及によりマネーロンダリングやテロ資金供与に関する情勢はめまぐるしく変化しているため、グローバルな協力体制でその対策を推進する必要があります。そういう国際的な要請もあり、日本でも犯罪による収益移転の情報や疑わしい取引の情報を集約し、取引の種別ごとにその危険度をまとめることになりました。

犯罪収益移転危険度調査書の背景と内容

・急激に増える仮想通貨によるマネーロンダリング
・仮想通貨取引所の整備不足が大きな要因
・疑わしい取引には共通の特徴がある

急激に増える仮想通貨によるマネーロンダリング

仮想通貨取引所を運営する事業所が届け出た、マネーロンダリングが疑われる取引件数は、2018年の1~10月の10カ月間で約6000件に上りました。前年の4~12月の9カ月間で届け出のあった件数が669件だったので、マネーロンダリング目的での仮想通貨の利用がわずか1年で激増したことがわかります。以前から取引所の現状の業務体制では不十分だと指摘されており、国際的にも仮想通貨の利用を規制する国際案を2020年までに確立することが目指されている状況です。そのため、警察庁は現状をまとめるため犯罪収益移転危険度調査書を作成したのでした。

仮想通貨取引所の整備不足が大きな要因

仮想通貨の取引は、ブロックチェーン技術によって履歴が公開されるため、取引の追跡自体は難しいことではありません。しかし、ウォレットの利用に当たり本人確認を義務化していない国の仮想通貨取引所が利用されると、犯罪による収益を仮想通貨に移転された場合、その所有者の特定は非常に困難になってしまいます。こうした問題は、リスクに応じた適切な管理体制を仮想通貨取引所が整備していないことが大きな要因だとのことです。

疑わしい取引には共通の特徴がある

警察庁によると、仮想通貨の疑わしい取引を調べたところ、以下のような特徴が見られました。まず、同一の顔写真で異なる氏名や生年月日の本人確認書類を利用して、複数の人物がアカウントを作成していることです。また、同じIPアドレスを使って複数の利用者登録や口座開設が行われている例もあります。さらに、利用者の居住国は日本なのに国外からログインされている場合も疑わしいとのことです。これらを踏まえて、今後は仮想通貨取引所に行政指導の徹底が図られると見られます。