Bittrexはラスベガスに本社を置く、アメリカでも大手の仮想通貨取引所です。
2017年には2億7000万ドルという取引高を記録しており、これはbitFlyerなど日本の大手の仮想通貨取引所を遥かに凌駕しています。
Bittrexでは俗に「草コイン」と呼ばれるマイナーなアルトコインを含め、合計で250種類以上の仮想通貨を取り扱っており、アメリカだけでなく日本の投資家にもおすすめできる取引所です。
しかしそんなBittrexが2018年9月にBitcoinGoldという仮想通貨の上場廃止を決定したのです。
どういった経緯でその決断に至ったのか、今回はご紹介します。
BitcoinGoldとは
BitcoinGoldは2017年10月24日に、Bitcoinからハードフォークを経て誕生した仮想通貨です。
逆に過去すべての規則を変更することで互換性を保ったまま仮想通貨の規則を変更することをソフトフォークと言います。
BitcoinではASICという部品を搭載したマシンを使ったマイニングが横行することでマイナーの新規参入が阻まれる事態が起きていたため、ハッシュアルゴリズムを変更し、よりマイニングの難易度を下げるためにBitcoinGoldが開発されました。
ハッシュアルゴリズムのほかにもBitcoinGoldはマイニングの難易度が調整されるタイミングをBitcoinの2週間に1度からブロック生成ごと、すなわち10分に1度に変更しています。
この変更によりブロック生成速度がより安定するようになりました。
BitcoinGoldのハッキングとBittrexの上場廃止
BittrexがBitcoinGoldの上場廃止を決定したきっかけは、BitcoinGoldがハッキング被害に遭ったことです。
BitcoinGoldは2018年5月に「51%攻撃」に遭い38万8000BTG、およそ20億円分のコインを消失させてしまう被害を出しました。
この51%攻撃によってブロックチェーンネットワークを部分的にコントロールすることができ、二重支払いなどの不正な操作ができるようになってしまいます。
原因はBitcoinGold側の「51%攻撃」対策の不備によるもので、騒動が一段落着いたのちBitcoinGoldの開発チームは改めて対策を強化したと発表しています。
当時BitcoinGoldを上場していたBittrexはこのハッキング被害によって12372BTGを失っており、BitcoinGold側に被害額の賠償を要求しました。
Bittrexは自身の保有するBTGで損害を補てんし、賠償額を半額の約6000BTGに引き下げましたがBitcoinGold側は「既に51%攻撃の対策は完了しており、コインの損失はBittrex側のセキュリティの問題である」、また「12372BTGは運営に差し障る金額であり、民間企業の被害を補てんするために支払う必要はない」という理由から支払いを拒否します。
この取引所と開発チームの見解の相違から、Bittrexは2018年9月14日までにBitcoinGoldの上場を廃止するという決定を9月1日に発表しました。
BitcoinGoldはどうなった?
BitcoinGold側は上場廃止を受け、「Bittrexは最近流動性が低くてBithumbやBinanceとは比べ物にならないので、当社にとっては打撃にはならない」、「ビットコインゴールドの取引量のうちBittrexのシェアは3%程度であるため、今回の上場廃止は大きな影響を与えない」」と強気の声明を出しています。
しかし一時期時価総額5位にまで到達したBitcoinGoldはハッキング被害から上場廃止までの騒ぎの間に90%以上も価格が下落してしまいました。
アメリカでも大手の仮想通貨取引所であるBittrexで上場廃止となったことは、BitcoinGoldの価格に今後も影響を与えるかもしれません。