先物取引の規制当局CFTCも独自の仮想通貨市場規制を検討

仮想通貨に限らず、世界各国は金融市場を制御するために規制当局を置いています。

日本では金融庁が金融機関に対して、仮想通貨なども含め広い範囲での規制当局となっています。

一方アメリカでは市場によって規制当局が分かれており、それぞれの分野に対して強い権限を有しています。

仮想通貨への規制当局としてはSEC(米国証券取引委員会)がアメリカでは一般的ですが、CFTC(米商品先物取引委員会)もSECとは異なったアプローチで仮想通貨市場への規制を考えているようです。

CFTCとは?


CFTC(Commodity Futures Trading Commission, 米商品先物取引委員会)は1974年に設立された比較的新しい組織で、首都のワシントンD.C.に拠点を置いています。

先物市場の監視によって詐欺行為や不正行為の摘発をし、参加者の保護や市場の健全化をもたらすことを目的としています。

アメリカの先物業者はCFTCに対して資産や口座資金を報告する義務があるほか、毎週火曜日に「建玉」(売買注文が成立したものの中で、反対売買によって取引の清算が完了していないもの)を集計し、CFTCにその内容を提出します。

そしてCFTCは提出された建玉の集計を分類して、毎週金曜日にHP上で報告書を公開しています。

世界の多くの投資家がこのCFTCによる報告書を参考に投資対象を決めていることから、CFTCが規制当局として大きな存在であると言えるでしょう。

CFTCの仮想通貨への態度


仮想通貨に対しCFTCはオープンな態度を取っています。

CFTCのJ.Christopher Giancarlo委員長は仮想通貨コミュニティから「クリプトの父」と親しまれる人物で、分散型台帳や仮想通貨に対しても前向きな姿勢を見せており、CFTCが仮想通貨の現物取引の規制を行うことはないと明言しました。

ですがBitcoinには先物市場があり、実際にニューヨークの先物取引業者が仮想通貨に関する詐欺行為を働いたとして仮想通貨取引を恒久的に禁止されるという処分を下された事例もあります。

アメリカではBitcoinの支持派によって仮想通貨の規制が主張されますが、CFTCは「インターネットがデビューしたときと同じように」権限の拡大を妨げるようなむやみな規制をするべきではないとしています。

J.Christopher Giancarlo委員長は今後10年における仮想通貨の長期的な可能性を評価しており、CFTCはこれからも仮想通貨のイノベーションを受け入れつつ、詐欺行為への対策やコンプライアンスの監査など投資家の保護を両立する方針で進んでいくと考えられるでしょう。

ただ2018年、CFTCの取締件数は増加しており、中でも仮想通貨市場での「見せ玉(特定の銘柄について大量の注文の発注・取消・訂正を繰り返し、取引が活発であると見せかけることで第三者の取引を誘う行為)」が摘発の要因として最も多かったと言われています。

CFTCがどのような規制を進めていくかは注目するべきでしょう。