ProgPoWの実装を推進するイーサリアム財団のセキュリティ担当Martin Holst Swende氏

 

Martin Holst Swende氏は、イーサリアム財団のセキュリティ部門のトップで、ProgPoWの実装を推進している人物です。

Swende氏が主張するProgPoWの実装について

・マイニングの公平性を保つ目的
・2018年ごろからASIC対策の必要性が議論される
・2月の会議で実装の延期が決定される

マイニングの公平性を保つ目的

Swende氏は、これまでに何度もProPoWの重要性を語っています。その理由は、イーサリアムの現在の取引承認アルゴリズムは不公平なマイニングのターゲットとされており、なるべく早くPoSに移行させるべきであって、その以降を安全に行うためにProgPoWの実装が重要だからとのことです。

2018年ごろからASIC対策の必要性が議論される

Swende氏が重要性を訴えるProgPoWとは、ASICによるマイニングの効率性を低下させ、GPUを優位にするためのアルゴリズムのことです。イーサリアムのアルゴリズム「Ethash」は、ASICへの耐性があるとされていましたが、2018年ごろからそれに対応したASICが次々と開発されており、それへの対策としてProgPoWを実装する必要性が以前からコミュニティ内で議論されてきました。Ethash対応のASICの登場は、個人や小規模のGPUマイナーが排除され、マイニングの寡占状態につながる危険性があります。その対抗策となるProgPoWの実装についてこれまで協議が重ねられてきましたが、いったん合意に至ったかと思うとまた延期されるという状況です。

2月の会議で実装の延期が決定される

2019年1月にProgPoWの実装がほぼ決定となりましたが、2月に再度行われた開発者の会議でさらに何カ月か延期することが決まりました。ProgPoWの実装による影響について、第三者機関による調査結果を待っている状況です。それが完了すれば、現在の懸念点への答えが出るはずとSwende氏ら関係者は期待していますが、その調査の終了時期について具体的なことは明らかにされていません。4月前半が現実的だろうと言われていますが、イーサリアムコミュニティからのフィードバックを議論する必要もあるとのことで、場合によっては5月になる可能性もあります。なお、ProgPoWへの切り替えを主張するSwende氏は3月、氏のホームページの「My stance on progpow」というコーナーで、「なぜProgPoWを実装すべきなのか?」と題して自身の主張を展開しています。