ハードフォークについてわかりやすく解説!仮想通貨が分裂する!?

ハードフォークという言葉をご存知ですか?最近はテレビでも仮想通貨の情報を目にしますが、ハードフォークについてわかりやすく説明していることはあまりありません。

ハードフォークとは、わかりやすく一言で言ってしまえば、仮想通貨が分裂することです。

これだけだと、「お金が分裂するって可能なの?」「どうして分裂しないといけないの?」と疑問が浮かんできますね。

そこで今回は、ハードフォークについてわかりやすく、そして詳しく解説していきたいと思います。理解しておけばあなたも仮想通貨の投資チャンスに繋がるでしょう!

ハードフォークとは

ハードフォークは既にある仮想通貨を元に、新しい仮想通貨が生まれることです。例えば、ビットコイン(BTC)は昨年8月にハードフォークを起こしビットコインキャッシュ(BTH)を生みだしました。既にビットコインを持っている人はその保有量に応じてビットコインキャッシュを受け取りました。

新しい仮想通貨は旧式よりも新しい技術が採用されており、より高機能な仮想通貨になる場合が多いです。そのため、旧仮想通貨は値下がりするなか新しい仮想通貨は値上がりするといった事態も起こりうるようになります。もちろん、その逆も起こりえます。

ハードフォークとは「既存の仮想通貨をもとに新しく、高機能な仮想通貨ができることである」と理解していただければいいです。

ハードフォークの種類

ハードフォークはその内容によって分類することができます。

アップデート
  • 運営する組織の合意のもと、仮想通貨全部の規格を変更する。
  • ハードフォーク後は以前の規格の仮想通貨は使えなくなるため、仮想通貨自体は一つのままになる。
  • コインの分裂
  • 旧仮想通貨を元に、他の組織が新しく規格を変更した仮想通貨を作る。
  • 旧仮想通貨とは別の組織が運営するため、ICOに近いが、旧仮想通貨を保有する人が新仮想通貨をもらえる、という点が異なる。
  • 旧仮想通貨を運営する組織内で意見が対立し、組織の一部が別のアップデートを行い、新しい仮想通貨ができる場合もある。
  • 先ほどはハードフォークを「仮想通貨が分裂すること」といいました。多くの場合、仮想通貨が二つに分かれるのは「コイン分裂型」のハードフォークの場合です。「アップデート」によるハードフォークの場合は仮想通貨の分裂は起こりません。

    後ほど改めてお伝えしますが、ビットコインキャッシュが生まれたのは運営するコミュニティの対立によるものでした。

    ハードフォークと「スケーラビリティ問題」

    ハードフォークと関連して度々語られるのが「スケーラビリティ問題」です。この問題は全ての仮想通貨に起こりうるため、ハードフォークと合わせてお話しします。スケーラビリティ問題についてお話しするには、まず仮想通貨の核となる技術「ブロックチェーン」を理解する必要があります。

    ブロックチェーン
    仮想通貨の送金や取引記録をブロックとして保持し、その取引データ自体を仮想通貨取引の確認に用いる技術です。

    仮想通貨は通貨のやり取りをする際に「誰から誰へ」「いくら払った」といった情報を仮想通貨自体にデータとして保存しています。そして、そのデータに適合しない注文は拒否されます。

    仮想通貨はブロックチェーン技術によって高いセキュリティを保っていますが、一つ問題があります。仮想通貨が繰り返し取引されると、取引データは積み重なり膨大なデータ量になります。すると、取引を処理するために必要な時間が増えてしまうのです。これを「スケーラビリティ問題」といいます

    また、取引の処理はマイナーと呼ばれる団体のコンピューターによってされています。マイナー事業は取引の処理を行う対価として取引手数料を得ることでなりたっています。しかし、処理に必要な時間が増えた場合コンピューターの電気代などの経費がかかるため、より多くの手数料を請求することになってしまいます。

    いくら安全性が高いといっても、取引に時間がかかり手数料も高くなってしまっては実用性に欠けてしまいます。スケーラビリティ問題が生じた仮想通貨は取引に使われる通貨であり続けるためにも、解決手段を講じる必要があります。仮想通貨の運営にあたって、ハードフォークは有効な手段として用いられるのです。

    また、人気のある仮想通貨ほど取引が盛んなため、よりスケーラビリティ問題が生じやすいともいえます。実際、ビットコインは現時点(2018年7月)までに12回のハードフォークを経験しています。

    仮想通貨は取引に使われている限り、ブロックチェーンによりデータが蓄積していきます。そのため、スケーラビリティ問題は仮想通貨と切っても切れない関係にあります。無限に増えていくするデータに対する弊害は、何らかの形で対策を講じなければなりません。そこで取られる対抗策がハードフォークなのです。

    ソフトフォークとは

    スケーラビリティ問題の解決にあたってはもう一つ「ソフトフォーク」という手段があります。ソフトフォークは既にある仮想通貨をアップデートすることによって、スケーラビリティ問題を解決する方法です。アップデートとしてデータ圧縮技術を新しくする方法を取ることが多いです。

    ソフトフォークで行われるアップデートでは、一時的にアップデートの前のブロックチェーンとアップデート後のブロックチェーンが一緒に存在することになります。その後、取引を処理するマイナーによって支持された方のブロックチェーンに収束するため、仮想通貨は分裂しません。

    ソフトフォークの代表的なものに「segwit」があります。segwitは取引のデータを圧縮することによって一つ当たりのブロックチェーンが持つ情報量を増やす技術です。圧縮されたデータのサイズは前のデータより小さいですが、以前と同じ情報を持っています。そのため、取引速度も改善し、手数料も安くできます。ハードフォークと同様にスケーラビリティ問題の解決手法として使われています。

    ソフトフォークのメリットとしては、既存の仮想通貨自体のアップデートであるため、仮想通貨を持つ人が混乱しないで済むということがいえます。

    ハードフォークとソフトフォークの比較

    ハードフォークソフトフォークは、どちらもスケーラビリティ問題の解決策として有用ですが、それぞれを比較してみると、長所と短所が浮かびあがってきます。

    ハードフォーク
    長所

  • よりスペックの高い仮想通貨を作れる
  • 新しい仮想通貨が生成される場合、旧仮想通貨を持っている人は無料で受け取れる
  • ハードフォーク間際は旧仮想通貨の価格が上がる傾向あり
  • 短所

  • ハードフォーク直前直後には取引や入出金ができない
  • 新しい仮想通貨ができた場合、旧仮想通貨のシェアが減り、価値が低下するリスク
  • 新仮想通貨にマイナーが集中、旧仮想通貨のマイナーが減少し、送金遅延が発生するリスク
  • 運営する組織の意志が不一致で分裂するハードフォークが行われた場合、騒動を嫌気され仮想通貨の価格に悪影響を及ぼす可能性あり
  • ハードフォークの乱立で仮想通貨の価値が薄まる危険
  • ソフトフォーク
    長所

  • 既存の仮想通貨をそのまま使える
  • 仮想通貨保有者のリスクが少ない
  • マイナー分散のリスクがない
  • 短所

  • アップデートには運営する組織全体の合意が必要
  • ハードフォークに比べてインパクトが薄い
  • どちらの対処法をとるかは、仮想通貨を運営している団体の判断で決まります。今ある仮想通貨を維持していく形で意見がまとまった場合はソフトフォークになります。一方、今ある仮想通貨をより革新的な機能をもった仮想通貨を作り出し盛り上げたいという時や、内部で意見が分かれている時はハードフォークで分裂することになります。

    過去にあったハードフォーク

    さて、仮想通貨の一大イベントとも言えるハードフォークですが、実際にハードフォークが起こるとどうなるのかを知りたいですね。ここでは過去にあったハードフォークを紹介して、仮想通貨が分裂するとどうなるのかをわかりやすくお伝えします。

    ビットコインとビットコインキャッシュ

    ビットコインは2017年8月1日にハードフォークを行い、ビットコインキャッシュを生み出しました。ビットコインは元祖仮想通貨としてとてつもない量を取引されてきたため、スケーラビリティ問題が生じたのです。問題に対処するにあたって、ハードフォークとソフトフォークのどちらを行うかで意見が分かれました。

    ハードフォーク派の中には、マイニングで大きなシェアを誇る「ViaBTC」の経営者ジハン・ウーの存在がありました。マイナーの中には、手数料を上乗せした人を優先して送金処理するサービスをすることで莫大な利益をあげていました。ソフトフォークでビットコインのスペックが上がってしまうと、手数料の上乗せをする人は減ってしまいます。

    世界で最大のシェアを誇るビットコインの手数料を取れなくなる損失は莫大です。それならば、ビットコインとは別の仮想通貨を作ったほうがマイナーにとってはマシだったのです。開発者サイドはソフトフォークの立場でしたが、結果としてハードフォークが実施されました。

    ハードフォーク前後のビットコイン価格推移

    ハードフォーク間際のビットコインの価格の大まかな推移を見てみましょう。

    このように、8月以降もビットコインの価格は騰がり続けました。理由としては、昨年の夏から秋にかけて北朝鮮騒動があり、金に次ぐ安全資産として注目が集まったためです。

    ハードフォーク前後のビットコインキャッシュ価格推移

    ビットコインキャッシュの価格はどうだったかといいますと、

    分裂してすぐに、売られてしまい価格を下げました。しかし、2017年12月20日には一時50万円を越え、かなりの上昇を見せています。年初にかけて300万円を越える大規模な上昇をしたビットコインに比べると、少し見劣りするかもしれません。しかし、ビットコインキャッシュはビットコインの持ち主に無償で配布されていました。リスクなくしてかなりのリターンを得られたことを踏まえると、ビットコインキャッシュもパフォーマンスは負けていないといえるでしょう。

    イーサリアムとイーサリアムクラシック

    イーサリアムは2016年6月にハードフォークを行いイーサリアムクラシックを生み出しています。この分裂にはスケーラビリティ問題とは別のきっかけがありました。そのきっかけは「theDAO」事件というイーサリアムの盗難事件です。

    イーサリアムにはスマートコントラクトという機能があります。「いつ」「誰が」「何をすると」「どうなる」という注文を予めイーサリアムに組み込み、迅速な取引が可能になる機能です。ビジネスに有用とされ注目されたイーサリアムを使い、様々なビジネスプロジェクトが発足しました。

    ただし、その中でも「theDAO」というプロジェクトには問題がありました。スマートコントラクトのプログラミング内に弱点があったため、ハッカーによる攻撃を受け、プロジェクトに投下されているイーサリアムが盗まれてしまったのです。

    イーサリアム自体に問題はなかったのですが、この事件では5000万ドル以上の被害が出たため、対処法が検討されました。その結果、「イーサリアムの残高を事件前の状態に戻す」か「あくまでビジネスプロジェクトに問題があったのであり、救済はしない」人で意見が分かれ、後者の人々によりイーサリアムクラシックが作られました。

    ハードフォーク前後のイーサリアム価格推移

    イーサリアムの価格の推移を週単位で見てみると、

    事件の被害額は甚大で、組織の分裂もあったためイーサリアムは乱高下しました。しかし、半年ほどの期間を経て再び有用性から買われ始め、現在は仮想通貨の内で時価総額2位になっています。イーサリアムが1円の時に買えていれば、その価値が何万倍にもなっていたという現実には驚くほかありません。

    ハードフォークが起こる経緯は様々にあります。ですが、共通して言えることは仮想通貨をよりよい方向にしようという意思のもとに行われていることです。ビットコインもイーサリアムも、騒動をきっかけに新しく仮想通貨ができるハードフォークを経験しましたが、時間をかけて価格を上げていきました。

    買うべきタイミングは見極めるべきですが、ハードフォークが起こる仮想通貨のチェックはしたほうがよいでしょう。

    まとめ

    今回はハードフォークについてお話ししました。仮想通貨の分裂と言われると不安になりますが、あくまでも問題解決のために起こるものだということをお分かりいただけたかと思います。今後も主要な仮想通貨にはスケーラビリティ問題などの解決にハードフォークが起きる可能性は十分にあります。その時はすぐに情報をキャッチし、チャンスを逃さないようにしましょう。