FATCA(外国口座税務コンプライアンス法)が周囲にあたえる影響




この記事のポイント

■海外で仮想通貨取引を行う投資家の納税義務を規定したFATCA
■アメリカ人富裕層の租税回避を阻止する目的
■海外の金融機関への負担は大

FATCA(外国口座税務コンプライアンス法)とは?

FATCA(外国口座税務コンプライアンス法)とはアメリカで定められた法律で、富裕層が海外で金融商品の取引をすることで得た利益の租税回避を阻止する目的で2010年に制定されました。この法律によって、海外の金融機関が顧客勘定及び自己勘定をする上でアメリカ投資を行う際には、受け取る利益や配当、利息などの所得に対しては30%の税金がかかるというものです。

海外の金融機関は米国内歳入庁やFFIなどと合意契約を結ぶことによってこの税金を回避することができますが、その代わりにその金融機関を利用しているアメリカ人口座を特定してIRSへ申告報告する義務が課せられることになります。実際には、この作業は海外の金融機関にとっては大きな負担となっています。

FATCAの背景は富裕層の租税回避

グローバルな社会が進む中では、アメリカ人投資家に限らずすべての国において、富裕層がどこにどのぐらいの資産を保有しているのかを把握することは簡単ではありません。アメリカ人富裕層の場合には、富裕層に適切な課税ができていないという問題を抱えていて、IRSと2001年に契約を結んだQI(Qualified Intermediary)と呼ばれる仲介機関がルールを定めるなど、これまで段階的に対策を講じてきたのです。

FATCAの問題点

FATCA(外国口座税務コンプライアンス法)の制定は、海外の金融機関が大きな負担を受けるだけでなく、海外金融機関が位置する国内法令などに抵触するリスクなどが実務上における問題点として懸念されています。例えば、海外に口座を持っている投資家が、その金融機関が個人情報をIRSへ開示されることを拒否した場合には、非協力口座としてカウントされ、その金融機関の資産における非協力口座が占める割合に基づいて税金がかかるというペナルティを受けることになります。場合によってはアメリカ源泉ではない支払いでも課税対象となってしまう可能性があり、正当性という点において法的な根拠が明らかにされる必要や対策を講じる必要があると指摘されています。

今後は、各国が協力しながら富裕層の資産を管理報告することが必要不可欠な課題となる他、情報提供を拒む国や金融機関に対しては一層のペナルティや追加的な報告負担を要求するなどのアプローチが必要になると考えられています。