この記事では、仮想通貨業界で注目されるTezosをEthereumとの違いを比較しながら考察していきます。
Tezosの公式HPによれば、”Tezosは真のデジタル集合体を統治する新しい非集権型のブロックチェーンである”とされています。
その集合体とは、共通の目的や好奇心によって繋がるグループの総称です。
Tezosの*トークン保有者が**プラットフォームを自分たちで管理し、改善させることを目的としています。中央集権的に誰かが独占的な力を持ってプラットフォームを管理するのではなく、それぞれトークン保有者がプラットフォームを管理できる仕組みとなります。
一方でEthereumは公式サイトによると、”Ehtereumは、スマートコントラクトを実行する非集権型のプラットフォームである”としています。これはどういう意味でしょうか。用語ごとに説明していきます。
まず、スマートコントラクトですが、ブロックチェーン上で契約を自動的に実行するプログラムのことをいいます。ブロックが承認されるごとに実行されるプログラムのことという理解で良いかと思います。
次に、非集権型のプラットフォームに関してですが、非集権型というのは管理者がいない状態のことを指します。管理者がいない状態でどのように運営して行くかですが、通貨保有者がそれぞれの承認方法に従ってプラットフォームを運営して行くための決断をしていくという流れになります。
つまり、Ethereumは、ブロックチェーン上で自動的に実行されるプログラムを管理者がいない状態のプラットフォームで実現していくというコンセプトを持つことがわかります。
実際に、この2つのブロックチェーン技術の違いについてみていきます。

Contents
TezosとEtheremのプラットフォームの違いについて
TezosはEthereumのようなプラットフォームを有していますが、最も大きな違いとしてブロックチェーン上で*プロトコルの更新・修正ができる点にあります。
この更新・修正方法は、ブロックチェーンの改善をよりスムーズに行うことを目的としています。他にブロックチェーンのプロトコルを変更する手段として**ハードフォークがありますが、これは、ブロックチェーンを2つのバージョンに分ける必要があるので新しいコインが生まれることになります。
有名なハードフォークとしては、イーサリアムからハードフォークした***イーサリアムクラシックがあります。Tezosは、ビットコインやイーサリアムが昔から問題としているハードフォークが今後主流になることはないだろうとしています。
彼らの考えとしては、ハードフォークはコミュニティーがどうしても相いれないプロトコルを実装するときに使う最終手段であるということです。
Tezosの中で、開発者は独自にプロトコルの更新・修正について提案することができます。
その中でTezosトークン保有者は、どのプロトコルが良いかを投票し、その更新・修正が採用された場合、開発者に対して報酬が発生します。
この方式を採用することによって開発者はプロトコルの更新・修正により報酬を得ることができ、特定の団体から援助を受ける必要が無くなります。
結果として、Tezosはプロトコルをより良いものにする開発者を得ることができます。
DPos(Delegated Proof of Stake、Proof of Stakeの発展系)
Ethereumは現在*Proof of Work(Pow)から**Proof of Stake(Pos)へ移行しようとしています。一方で、Tezosは始めからDPosを採用しました。Powは有効な方法ではありますが、***Peer to Peer のコンセンサスを維持させるためには、大量のコンピュータリソースが必要となります。
実際、すでにEthereumの****マイナーたちはキプロスのような小さな国よりも電気量を消費しているとのことです。Posはどうでしょうか。ブロックチェーン内での承認は、コンピュータリソースを使う物理的なマイニングではなく仮想的なマイニングとなります。
このマイニングに参加するためには、ハードウェアや電気を消費するのではなく一定量のトークンを所有することが必要となります。PoSの強みは、もし誰かがネットワークを攻撃しようとしても攻撃によって得られる利益よりもマイニングによる利益の方が大きくなるように設計されている点にあります。
このPoSの発展系として生み出されたのが、DPoSです。特徴としては、Tezosトークンの保有者は誰か他の人にステーキングを委任できるという権利を持ちます。保有者に時間や知識・十分なリソースがない場合に、これを利用するメリットがあります。
承認方法の違いについて
Tezosは、スマートコントラクトのためのプログラミング言語もEthereumとは違います。Tezosは形式的検証をスムーズに行うために*Michelsonという関数型のプログラミング言語を採用しています。
形式的検証とは、開発者に対してスマートコントラクトのコードが正確であるかを数学的に検証することを言います。数学的な検証なので100%正しいわけではありませんが、原子炉や航空機、医療機器のためのエラー検知器としてもすでに採用されているので技術的に心配なことはないでしょう。
形式的検証をすることで、実装されたEthereumの**スマートコントラクト内にいくつかのバグが見られることがあります。これはEthereum自体のバグではないのですが、このバグを発見するための形式的検証ツールが統一されていないこともあり、開発者の間で議論が多くあることも事実です。
このような背景から、統一された形式的検証ツールやプログラミング言語が必要だという気運が強まり、Tezosが開発されたという背景があります。
形式的検証の弱みとして、このツールを信用すれば全て良いと誤った意識が生まれ開発者にとってこれをが適切に使うことが難しくなる場合がある点にあります。
プロジェクトについて
Tezosの共同設立者は、2014年からTezosを開発しているArthur Breitman (ArthurB)とKathleen Breitman (KathleenB)になります。(公式ホワイトペーパーより)2017年の7月から2週間でTezosは232万ドルもの出資を受けました。
ネットワークが開始される最初の年は、Tezos財団に対してプロトコルの提案に対する拒否権が付与されることになりますが、今後特権的な力を持つという意味ではありません。
加えて、もしTezos保有者がネットワークを維持するために出資し続けないのであれば、この財団は最終的に廃止されるだろうとしています。
まとめ
この記事では、Tezosを中心にEthreumとの違いについて考察してきました。
EthereumもTezosもスマートコントラクトを持つプラットフォームとして共存することは可能なのでしょうか。
それぞれの保有者は独自の目的・理想を持ち投資していることかと思います。
今後、より仮想通貨市場が大きくなり需要が増えればさらに発展した両者ともさらに発展したプラットフォームとなることでしょう。