集団訴訟の撤回を求めるTezos基金の訴え、退けられる! 訴訟の経緯とは?


Tezosプロジェクトは順調に推移し、メインネットの公開前ですが、高い時価を保っています。

しかしおよそ230億という大型のICO後、Tezos基金内は決して順調だとは言えません。

Tezosを始めたArthur BrietmanとKathleen Brietmanと、Tezos基金の責任者であるJohann Geversの間で内紛が勃発し、アメリカの投資家たちに集団訴訟をされてしまったのです。

この記事ではTezos基金が訴訟を回避するための訴えが退けられたこと、集団訴訟の経緯、そしてスイスに拠点を置くTezos基金がなぜアメリカで訴訟されたのかについてご紹介します。

Tezos基金の訴えが退けられる

カリフォルニア州の連邦裁判所はICOがアメリカの証券取引法に違反しているのではないかという集団訴訟を却下する、Tezos基金の訴えを退けました。

この決定は8月7日火曜に下されました。

訴訟を担当したRichard Seeborg地裁判事はTezos財団と仮想通貨Tezosの創設者であるArthur BrietmanとKathleen Brietman夫妻の訴えを米国に拠点を置くDynamic Ledger Solutions(DLS)社の訴えと同様に否定しました。

Ledger Solutions(DLS)社とは
Dynamic Ledger Solutions(DLS)社はArthur BreitmanとKathleen Brietman夫妻が管理するソフトウェア開発会社です。
TezosはTezosICOを管理するTezos基金と、このDLS社によって構成されています。
この二つの組織は密接に関係しており、今回の集団訴訟でもDLS社を被告から外すようBreitman夫妻は要請しましたが、却下されました。

Tezosプロジェクトは2014年の創立以来、プロジェクトメンバーの再編やベータネットを立ち上げるなどメインネットの公開を目指してポジティブな動きを続けています。

しかし今回の集団訴訟はそんなTezosに悪影響を及ぼすだけでなく、仮想通貨市場に「Tezosショック」を与えるのではないかとも考えられています。

集団訴訟の経緯

この集団訴訟はTezos基金が2017年7月に行ったICOがきっかけとなりました。

このICOでTezos基金はおよそ232万ドルを集めたのですが、後に登録されていない証券をアメリカの投資家へ販売したとして、四度の集団訴訟に見舞われました。

集団訴訟は原告団の中でも主導的な立場であるArman Anvariによってひとつの訴訟としてまとめて「Tezosという証券に関する訴訟」と呼ばれています。

ICOはスイスに本社を置くTezos基金によって行われたため、Brietman夫妻やDLS社がアメリカで責任を負うことはないと、Brietman夫妻は主張しています。

なぜアメリカの法律で裁かれる?

Brietman夫妻の主張するように、Tezos基金は本来、本部を置くスイス・ズーク郡の法律で裁かれるべきです。

夫妻は今回の訴訟に「アメリカの証券取引法を用いて、アメリカの国外で行った取引に難癖をつけているようだ」とも主張しています。

TezosのICOはアリゾナ州のサーバにホストされた、相互に交信可能のウェブサイトで行われており、主にカリフォルニア州にいるArther Brietmanにより運営されていました。

そしてArtherはアメリカにいて、アメリカ国民を対象にICOを行いました。

そのため判事はBrietman夫妻の訴えを「虚偽である」と判断し、アメリカの証券取引法を適用するよう決めました。

またそれとは別に、仮想通貨の仲買業を営むBitcoin Suisse社は「今回の訴訟の鍵になるものではないようだ」として、被告から外されました。

おわりに

この記事ではTezos基金が訴訟を回避するための訴えが退けられたこと、集団訴訟の経緯、そしてスイスに拠点を置くTezos基金がなぜアメリカで訴訟されたのかについて紹介しました。

このTezos基金を巡る集団訴訟はTezos基金のみならず、仮想通貨業界全体に関わる問題です。

なぜならばこの訴訟はアメリカにおけるICOの解釈と証券取引法について判例を生み出すものだからです。

この訴訟によっては仮想通貨市場に影を落とすことにつながりかねません。

その動向に注視することが必要です。