Qtumとは何?

Qtumは、2016年12月にシンガポールのQtum財団が開発した仮想通貨の単位です。通貨の名称は「Quantum」で発音上は「クアンタム」と変わりません。

特徴的なのは、オープンソースを利用したすでに安定した運用がされているビットコインとスマートコントラクトを持つイーサリアムの良い点を併せ持った通貨という点です。

Qtumの特徴
  • AALを採用
  • ライトウォレット
  • PoSの導入

AALを採用

(引用: https://coinbake.in/2018/02/17/what-is-qtum-coin-all-you-need-to-know-in-this-guide/)

AALとは、”Account Abstraction Layer”の頭文字をとった用語となります。AALは、ビットコインとイーサリアム両方の特徴を共存させるための技術となります。日本語では「アカウント分離層」となるので、ビットコインとイーサリアムの性質を分離させている層と考えるとわかりやすいと思います。

つまり、ビットコインの持つ「UTXOベース」を使いながらイーサリアムのスマートコントラクトを実現することが可能になります。AALによって、ビットコインのブロックチェーン上に仮想のマシンを作って、そこでイーサリアムのスマートコントラクトを稼働させるというシステムです。スマートコントラクトを使いながら、スピーディで安全にシステムを運用できるようになっています。

イーサリアムは、UTXOベースを採用していません。つまり、ブロックチェーンに残高がそのまま記録されることになります。この方法をUTXOベースに対して、アカウントベースと言います。

QtumがUTXOベースを採用している理由としては、プライバシー保護の利点が大きいです。ブロックチェーンには残高の情報が記載しておらず、残高を確認するためには膨大な計算が必要になります。イーサリアムは、スマートコントラクトがすでに多くの計算リソースを必要とするため、UTXOベースを採用せず、アカウントベースで残高をブロックチェーンに記録してシンプルにしています。

この点は、ビットコインとイーサリアムの思想の違いともいえるでしょう。

UTXOベースとは?

UTXOは、Upspent Transaction Outputの略で、日本では「未使用取引のアウトプット」と言います。これは、残高管理方法の一種でありビットコインが採用する管理方法です。円やドルなどの法定通貨を管理する場合、全ての残高は金額として通帳に記載されると思います。

しかし、UTXOの場合、取引データから残高を算出します。

例えば、AさんがBさんに10BTC送付して、BさんはCさんに5BTC送付します。そうすると、取引データとしては、

  1. A→B : 10BTC送付
  2. B→C: 5BTC送付

となります。この取引データからAさんは0BTC、Bさんは10-5=5BTC、Cさんは5BTC所有していることが算出できます。

このように取引データから残高を計算して、管理する方法をUTXOベースを呼びます。

スマートコントラクトとは?

ブロックチェーン上で予め契約内容や契約執行の条件をプログラムしておくことで、条件に該当した際に契約が自動で執行されます。

仲介人を必要とせず、不正や改ざんのない形で取引を管理できる仕組みとなります。

ライトウォレット


Qtumはライトウォレットを作成して使用することができます。このウォレットは、ブロックチェーンのすべての履歴をダウンロードすることなく使えます。大量のデータをダウンロードすることなく、自分のアドレスで行われた取引の記録だけを必要とするウォレットなので、動作がとても軽いというメリットがあります。従来のウォレットは動作が重くパソコンのみでしか使えませんでしたが、ライトウォレットはスマートフォンでも簡単に取り扱うことができます。

PoSの導入

Qtumでは、PoS(Proof of Stake)をコンセンサス・アルゴリズムに導入しています。

仮想通貨には中央銀行や政府といった管理者が存在しませんので、取引の正当性を誰かが証明する必要があります。この取引の承認社を決める方式が、コンセンサス・アルゴリズムです。PoSはパソコンやサーバーの演算処理能力に関係なく、保有している通貨の量と時間に応じて取引承認に参加が認められるというシステムです。そのため、Pow(Proof of Workと比較して電気代がかからず「51%攻撃」を受けにくいというメリットがあります。

Pow(Proof of Work)

プルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work / PoW)とはビットコインなどで使われている仕組みで、取引の承認にコンピュータの計算リソースを使う認証方式です。電気消費量が多いなどの問題があります。

51%攻撃

51% 攻撃とは、悪意のある集団または個人によりブロックチェーン全体の計算処理速度の 51%(50% 以上)を支配し、不正な取引を行うことです。PoWの場合、コンピュータリソースの優劣によって取引承認者が決められます。

なので、大量のハイスペックなコンピュータを使えば全ての取引の承認権利を得ることができブロックチェーンを支配することも可能になります。

Qtumの将来性は?

Qtumのプロジェクトには高い技術力が投入されています。ビットコインやイーサリアムの成長からしても、それと同様に価格を上げていくことが推測されています。とはいえ、仮想通貨のなかではマイナーな部類に入っており、日本国内の取引所では取り扱われていません。海外の取引所でしか取扱いがありませんが、ある意味で狙い目の通貨と言ってもいいでしょう。

Qtumを取り扱う海外取引所は?

マルタ島に拠点を置く大手仮想通貨取引所。多くの通貨を上場させており、Binanceに通貨が上場する際には価格が上昇することが多い。

取引ツールも提供している仮想通貨取引所。仮想通貨と法定通貨との交換もできる。

2016年に香港で設立された仮想通貨取引所。わかりやすい取引画面が特徴。