nano(NANO)はBitcoinを反面教師とした仮想通貨

仮想通貨のゴールドとも呼ばれるBitcoinは、実用化するに当たっていくつかの課題があります。その課題を解決するために誕生したのがnano(NANO)という仮想通貨です。2018年1月にRailBlocksから名前が変更になりました。

これは、nanoのプロジェクトに投資するコミュニティからRailBlocksという名前が覚えにくいとの指摘があり、リブランドすることが決定したそうです。

この記事では、ビットコインの課題を克服するために誕生した仮想通貨nanoを紹介します。

この記事のポイント
  • nano(NANO)はDAGという技術を採用している
  • nano(NANO)は処理速度が高速で、手数料が安く済む
  • nano(NANO)の価格は?

nano(NANO)が解決を目指すビットコインの課題とは?

ビットコインは、未だ特定されていないサトシ・ナカモトの論文を元に2009年に誕生しました。その論文では、既存のオンライン支払いシステムは2重支払いや手数料が高いなどの問題があり、この問題を解決するためにブロックチェーンという技術を使って取引手数料を抑え安全に送金できると述べられています。

その後、様々な仮想通貨が誕生し、昨年2017年は「仮想通貨元年」と呼ばれています。

さらなる発展を目指して開発が進められているビットコインのブロックチェーンですが、スケーラビリティ問題と取引認証方式であるPoW(Proof of Work)による電気消費量が深刻になっています。

スケーラビリティ問題とは、ブロックチェーンのブロックサイズが決まっていることから一度に取引できる量が制限されており取引量が増えると送金に時間がかかる、送金要求が承認されない、取引手数料が高くなるなどの問題が発生する状況のことを指します。

さらに、PoWによる電気消費量の問題があります。

ビットコインのブロックチェーンはPoWを採用していることから、取引認証にはノード(パソコンやサーバー)の計算処理能力が必要になります。取引認証に参加するノードは常時電源を入れておく必要があり、電気消費量が一つの国に匹敵するほどの量となり、問題が深刻化しています。

これらの問題の解決を目指すのが仮想通貨nanoです。

nanoが採用したDAGという技術とは?

nano(NANO)はDAG(Directed Acyclic Graph)と呼ばれる新しい技術を導入しました。直訳すると、”直接的で非環状な方式”となります。

DAGでは、それぞれのユーザーが固有のブロックチェーンを持ちます。そのブロックチェーンは所有者によって更新され、そこから非同期的に残りのブロックが更新されていきます。”非同期的”とは、情報が同時に更新されないことをさします。

以下の図を用いて説明します。

(引用: https://nano.org/en/whitepaper)

A-Cは、それぞれのユーザーを意味します。”S”はSenderの頭文字で送金者、”R”は”Receiver”の頭文字で受金者を示します。ユーザーは取引履歴が記録されていくブロックチェーンを独自で所有します。

例えば、赤い四角で囲まれた取引を見てみます。AのブロックチェーンからCのブロックチェーンに通貨が送金されています。送金と受金が同時に行われているので、この取引は同期的な取引と呼ぶことができます。

一方で、非同期的に取引が行われるとは、青い円で囲まれた取引のことを意味します。まず、Bのブロックチェーンから通貨が送金されます。しかし、その時点ではAは通貨の受け取りを承認していません。少し時間が経ってから、Bが送った通貨を受け取っています。このように受取ユーザー側が自由に受金タイミングを決めることができるので、同時に取引が成立しなくてもブロックチェーンが生成されるのです。

これによって、Powなどの取引認証方式を必要がなくても取引を完了でき各ユーザーが自分がブロックチェーンを管理するので、スケーラビリティ問題を解決できるのです。

nano(NANO)の価格は?

nano(NANO)は、2018年1月に最高値の3400円を記録して以来、価格は下降傾向にあります。現在2018年8月時点での価格は176円となっています。
 

Nano(NANO)が盗まれた?

2018年2月8日に、1700万Nanoが盗まれました。これは、イタリアの仮想通貨取引所BitGrailがハッキングされた時に生じた問題です。流通するNanoの13%にもなる量なので、大きなハッキング事件であったと予想されます。2月のNanoのチャートを見てみましょう。

ハッキングの影響を受けて、2月上旬から中旬ごろまでは価格が大きく下がっていることがわかります。しかし、そのあとはハッキングの原因がNano(NANO)自身ではなく取引所であったことがわかり、大手仮想通貨取引所に上場している影響もあって取引量は戻ってきています。

現在は仮想通貨全体で価格が下落している影響でNanoの価格は下落傾向にありますが、今後のアップデートによっては価格が戻ることも予想できます。

nano(NANO)の取引ができる取引所は以下となります。

日本人にも人気の仮想通貨取引所。取引画面も使いやすくセキュリティも定評がああります。

中国にある仮想通貨取引所。マイナーな仮想通貨も扱っており、ネットワーク障害も少ない。

ビットコインやイーサリアム、ライトコインなども取引可能なドバイの仮想通貨取引所。

2016年に創設された香港の仮想通貨取引所。

まとめ

他の仮想通貨とは違って、個人でブロックチェーンを所持することができるnano(NANO)をご紹介しました。

あまり日本では知られていない通貨ですが、今後ユーザー数が増えればさらなる普及が期待できるのではないでしょうか。コミュニティも活発で多くの取引所に上場していることもプラスな点でしょう。個人間での通貨交換を容易にするモバイルデバイスも2018年に発表されており、将来的な技術革新にも注目していきたいです。