先行き不透明なベネズエラのマドゥロ政権が普及を進めるペトロ

 

ペトロとは、ベネズエラ政府が発行する独自の仮想通貨です。ニコラス・マドゥロ大統領が2017年12月導入を発表しました。翌年8月20日には、法定通貨のデノミとともに新通貨ボリバル・ソベラノを発行、ペトロは新通貨と連動して経済システムを構築していくことになっています。ただし、2019年1月現在、野党のグアイド国会議長が暫定大統領に就任することを宣言し、アメリカもこれを承認したことで、マドゥロ政権の行方とともにペトロの先行きも怪しくなっている状況です。

ベネズエラ政権とペトロについて

・マドゥロ政権が普及を務める仮想通貨だが
・野党のグアイド国会議長が暫定大統領に就任したことを宣誓
・マドゥロ大統領に失脚と同時にペトロも終了することは確実

マドゥロ政権が普及を務める仮想通貨だが

豊富な石油資源をもとに、政府の信頼性と石油価格でその価格が決定されるペトロの流通が始まってしばらく経ちます。ICOでの先行販売では50億ドルを調達したとも発表されたペトロですが、ベネズエラ国民の信頼は得られていません。ペドロではなく、取引スピードに優れるダッシュなど別の仮想通貨の方を決済手段として受け入れる小売店が増えています。そのため、ベネズエラ政府は外貨や民間の仮想通貨取引に課税することを決定しました。

野党のグアイド国会議長が暫定大統領に就任したことを宣誓

2019年1月に2期目を開始したマドゥロ大統領ですが、独裁色を強めるマドゥロ大統領に対し、選挙の不正を訴える野党は選挙のやり直しを求めています。その野党の国会議長を務めるグアイド氏が今度は暫定大統領に就任したことを宣誓し、さらに、アメリカのトランプ大統領もグアイド氏を真のベネズエラ大統領として承認しました。これを受けて、反米左翼のマドゥロ大統領はアメリカと国交を断絶することを表明、同時にアメリカの外交官に国外退去を通達しており、アメリカとの対立が激化を極めています。それに対し、中国とロシアはマドゥロ政権を支持しており、アメリカに対してクーデターを企てていると非難する状況です。

マドゥロ大統領に失脚と同時にペトロも終了することは確実

開始当初から先行きが不透明だったペトロですが、それを立ち上げた張本人であるマドゥロ大統領が失脚すると、当然ながら何の価値も持たなくなります。グアイド暫定大統領は以前からペトロについて批判しており、「冗談のような仮想通貨」としてその販売も違法だとの見解を示していました。今後、情勢がどのように変化するかはわかりませんが、内戦にでも発展すると国民が苦しむことは明らかです。