半導体メーカーTSMCとマイニングとの関係

BitCoinが世界を席巻した2017年以降、世界の多くの団体や企業、個人がマイニングに力を注いできました。マイニングはブロックの計算処理を助ける代わりにBitCoinを報酬として受け取るというもので、多くの大企業がマイニングによって利益を上げてきたのです。当然のこととして、マイニングにはスーパーコンピューターのような高性能のコンピューターが必要になります。そこで業績を伸ばしたのが半導体メーカーTSMCでした。

この記事のポイント

・TSMCはマイニング大手ビットメインが主要な顧客
・TSMCの業績は急激に落ち込んでいる
・マイニングは転換点を迎えている

TSMCはマイニング大手ビットメインが主要な顧客

TSMCにはいくつかの顧客がいますが、主要な顧客は中国を拠点とするマイニング大手のビットメインです。ビットメインの世界最大のマイニング規模を誇っており、マイニングによって発掘されるBitCoin全体の約32%を占めています。ビットメインはマイニング機器の販売も行っていますが、自社のマイニングにもマイニング機器にも半導体は不可欠です。そのためTSMCのもっとも重要な顧客となっているのです。2017年と2018年の前半にはビットメインが使用する半導体の6割近くをTSMCの商品が占めているほどです。

TSMCの業績は急激に落ち込んでいる

世界最大手のマイニング企業が顧客であればTSMCの将来は明るそうですが、実はそうではありません。TSMCは2018年の売り上げ成長率を当初の予想の7~9%から6.5%に引き下げました。これはマイニングの需要が減っていること、仮想通貨自体の価値が下がっていること、さらにビットメインの業績が落ちていることなどが原因です。2018年に入ってから続く仮想通貨の低迷はビットメインにもTSMCにも大きな打撃となっています。さらにビットメインは550万ドルを超える被害の盗難に遭っており、大打撃を受けました。そのあおりを受けてTSMCの業績も落ちてしまっているのです。

マイニングは転換点を迎えている

現在もマイニングは続いていますが、世界のマイニング業者の多くは以前ほどの利益が出せていないのが現状です。さらに赤字に転落している業者さえあります。TSMCはビットメインに、マイニングだけに特化した改良をしないようにとも勧告しており、マイニングは転換点を迎えていると言えるでしょう。TSMCのようにマイニングに協力してきた企業も、別の生き残る方法を見つける必要に迫られています。