Swiss Bankers Association (SBA)というスイスの銀行協会は仮想通貨のガイドラインを策定

この記事のポイント

・スイス国内の銀行が仮想通貨企業と取引にあたってのガイドラインを策定
・仮想通貨産業の発展を歓迎する姿勢
・スイスの銀行はこれまでICOに関して否定的

スイスは仮想通貨先進国

仮想通貨への態度を世界的に見ると、スイスは好意的といわれています。例えばスイスにはツーク州があるのですが、「クリプトバレー」といわれ、仮想通貨産業が集中しています。スイス国内で仮想通貨関連のスタートアップ企業は実に530社に上っています。しかし一方で、仮想通貨企業がICOなどで集めた資金をスイスの銀行に預けられないという問題が起こっていました。スイス国内には250程度の金融機関があります。しかしこの中で、ICOにより集めた事業資金の預け入れに対応しているところは数行程度です。このため仮想通貨のスタートアップ企業は事業資金をどう管理すればいいのか、従業員にどう給与を支払うかというのが課題でした。

なぜこれだけ金融機関が仮想通貨に対して慎重な姿勢なのか、それは2017年のTezosという仮想通貨の問題が関係しています。Tezos財団は先ほど紹介したクリプトバレーに本拠があり、2017年7月にICOにより2億3200万ドルもの資金を集めることに成功しました。しかし開発者と財団トップの内紛で仮想通貨の配布が遅れ、投資家から集団訴訟を起こされる事態になったのです。このような問題がまた起きるのではないかという懸念が、スイスの金融機関内で渦巻いているのです。

スイス銀行協会がガイドラインを策定

そんななか2018年9月にSwiss Bankers Association (SBA)というスイス銀行協会が、ガイドラインを策定しました。仮想通貨関連企業が銀行口座を開設するにあたっての審査基準を明記しています。SBAは今回ICOを行っているかどうか、ICOによる資金調達を行う場合、その集めた資金が仮想通貨か法定通貨かによって異なる審査基準を設けました。ちなみにICOによる資金調達を行わない場合、ほかの分野の企業の基準と同じで開設を認めるかどうかを判断することと定められています。

このガイドラインの策定にあたって、SBAは仮想通貨産業をスイスの企業センターとしての魅力を増大させるとして歓迎すると声明を出しています。仮想通貨企業が銀行から締め出されて、国外に流出する状況が出ているので、これを食い止めるためにも今回のガイドラインが作られたといわれています