Squire マイニング社、韓国サムスン電子と提携してASICチップ製造へ

この記事のポイント

・Squireマイニング社が韓国サムソン電子とマイニング用ASICの製造に関する契約を締結
・ASICチップの設計をGaonchips、製造をサムソン電子が行う
・サムソン電子は積極的に仮想通貨事業に関わり、Bitmainに対抗する思惑があると思われる

2018年9月、カナダ・バンクーバーにあるマイニング大手のSquireマイニング社はASICチップ(特定用途向け集積回路)の製造について、半導体メーカーとして韓国で最大の企業サムソン電子と契約を結んだ事を発表しました。現状、仮想通貨採掘をほぼ独占状態にあるBitmainに対し、ASIC製造で対抗勢力となりうる可能性が見込まれています。

Squireマイニングは2018年8月に、仮想通貨採掘のための次世代ASICチップの設計から初期量産に関して独立系企業との間で提携を結んだことを発表。同8月採掘機器開発費用として19万5千ドルの資金を調達しています。今回の契約ではASICチップの設計をGaonchipsが担当、サムソン電子が製造を担当する形で協業することが決定されています。

Bitmain一強状態を打開しようとする思惑

Bitcoinの発掘産業は、長くBitmainと台湾の独立系専業半導体ファウンダリであるTSMC(台湾セミコンダクター)の独占状態にあります。BitmainはASIC製品の販売において「低価格・低利幅」を維持、競争力を保持し続け、2014年から現在に至るまで、市場においては競合相手を寄せ付けずにいます。Squireマイニングとサムソン電子の提携は、このBitmain一強の市場の状況に変化をもたらす可能性があるものとして注目を集めています

韓国においては、いくつもの業界から1千億円超の規模を持つ大企業が、仮想通貨取引所への出資やブロックチェーンのプロジェクトへの参画という形で、仮想通貨産業へ参入したり、市場との関係を持つようになってきました。事例としては通信のSKテレコムを始め、生命保険会社である教保、ITのカカオ、新韓銀行などがあり、既存インフラとデジタル資産を統合しようとする傾向が見られます。

サムソン電子の思惑は、こうした韓国の大手企業が相次いで仮想通貨産業に関与する流れに応じ、Squireマイニングと提携することで現状のBitmainの一人勝ちの状況を打破し、市場を拡大して積極的な仮想通貨産業への参入を計ることにあると考えられます。