ブロックチェーン技術の中心都市を目指すソウル市のパク・ウォンスン市長

先日、パク・ウォンスン(朴元淳)ソウル市長が、済州特別自治道をブロックチェーンを基盤とするスマートシティにするための戦略を発表しました。また、ソウル市で独自通貨「Sコイン」を発行して社会的なプログラムの支払い手段とする提案もしています。ICOを全面禁止する韓国政府ですが、ブロックチェーン技術を推進するパク市長はどのような進展を考えているのか注目です。

パク・ウォンスン氏について

・行動派の弁護士からソウル市長へ
・5年で100億円をブロックチェーンに投資
・ソウル市の行政プロセスに仮想通貨の導入を検討中

行動派の弁護士からソウル市長へ

パク・ウォンスン氏は1955年に生まれました。名門ソウル大学の法学部に進学しましたが、在籍中の1975年に軍事独裁体制に対する反政府デモに参加したために投獄され、大学も除籍されてしまった過去を持ちます。しかし、1980年には司法試験に合格、その後、地検検事や弁護士として活動し、90年代にはハーバード大学の客員研究員や大韓弁協公報理事などを務めました。80年代半ばからは民主化や従軍慰安婦問題などに取り組み、市民団体「参与連帯」の設立にもかかわっています。行動派の弁護士として韓国では広く知られ、2011年にはソウル市長選挙に無所属から当選しました。

5年で100億円をブロックチェーンに投資

そんなパク市長ですが、先日、ブロックチェーン関連企業やイーサリウム財団の拠点として知られるスイスのツーク市での講演において、ソウル市をブロックチェーンの世界的ハブにするという構想を掲げました。実際に、5年間で100億円規模の支援を行う計画だそうで、ブロックチェーン技術の開発者の教育と養成、事業のマーケティング、ブロックチェーン関連企業のビジネスセンターの建設などを進めていくとのことです。

ソウル市の行政プロセスに仮想通貨の導入を検討中

パク市長は、ソウル市が韓国で先陣を切ってブロックチェーン技術を行政プロセスに導入する計画も進行中であると語っています。具体的には、オンライン投票のプラットフォームにブロックチェーン技術を適用することで改竄を防ぎ、投票結果に対する信頼を高め、直接参加の民主主義に繋げていくといった構想があります。また、「Sコイン」という独自の仮想通貨を発行して、ソウル市が出資する社会的プログラムの支払い手段とするプロジェクトも検討中とのことです。ただし、実現のためには条例変更などの課題もあり、ICOを全面禁止する政府との関係のなかで、どうやってブロックチェーン技術を推進していくかに注目が集まっています。