仮想通貨取引所SEBA Crypto AG、1億ドルの資金調達に成功

この記事のポイント

・SEBA AG社が1億ドル超の資金調達。仮想通貨関連企業に銀行サービス提供
・現状、既存の大手銀行は仮想通貨関連業界への融資に難色を示す傾向にある
・このチャレンジは既存の銀行業界と仮想通貨業界の統合へもつながる可能性がある

2018年9月27日、スイスのSEBA Crypto AG社が1億ドル(約113億円)の資金調達に成功したことを公表、仮想通貨と法定通貨のハブバンクとして機能する規制上初の銀行の設立を目指しています

仮想通貨に対する評価は世界的にみても未だ安定しているとはいえず、現在、世界各国で仮想通貨取引所や仮想通貨関連企業が銀行からの融資サービスを受けにくいという問題が起こっています。ブラジルでは、大手銀行が仮想通貨関連企業に対し銀行サービスの利用を拒絶するという事例が発生、ブラジル規制当局が銀行の行為を独占的競争にあたる可能性があるものとして調査を行っています。フランスでは仮想通貨関連企業が銀行からの融資を受けにくい現状を打破するために、新たなICOの枠組みを作って、金融市場規制当局がICOを行う企業に認可を行う権限を与えることになりました

こうした状況下、スイスの投資銀行であるUBSの前経営者が、SEBA Crypto AGを設立、ブロックチェーンや仮想通貨に関連する新興企業に対し、仮想通貨と銀行業務両方を取り扱う銀行を設立するため、資金調達を行ってきました。結果、9月27日になって同社は1億ドルの資金調達成功を公表。同社はクリプトバレーとも呼ばれるスイスのツークに拠点を置き、銀行業務の他コーポレート・ファイナンスの提供や、各種サービスを取り扱うことを予定しており、現在、スイス金融市場監査局(FINMA)に有価証券仲介業の許可を申請、協議中であるとのことです。

銀行とデジタル資産業界の統合への道筋

今後、SEBA Crypto AGは欧州各地及びシンガポールへの事業展開とさらなる資金調達を計画しています。仮想通貨業界への融資に既存の大手銀行が難色を示すのは、仮想通貨への規制が現状不明瞭であることからくるリスクを嫌うのが大きな要因となっていますが、それは逆にSEBA Crypto AGのような企業にとっては大きなビジネスチャンスとなっていることも事実です。SEBA Crypto AGのチャレンジは、現状にあってブロックチェーン事業や仮想通貨取引事業を展開する企業の需要を満たす重要なサービスとなり、既存の銀行とデジタル資産業界との統合へつながっていく可能性もあると言えるでしょう