Proptech(PropertyTechnology)プロップテック/不動産テクノロジー:不動産ビジネスの新しい形

この記事のポイント

・「不動産テクノロジー」とはITとの融合による不動産ビジネスの新しい形
・「不動産テクノロジー」の普及は法改正の影響も大きい
・不動産業界の人手不足と、取引の不透明性の改善に期待

近年、IT技術の活用範囲は大きく広がりを見せています。ITを活用した金融サービス「フィンテック」(Finance+Technology)などが話題に上がりますが、日本で注目を集めているのが、「プロップテック/不動産テクノロジー(不動産テック)」です。

読んで字のごとく、「不動産」と「テクノロジー」をあわせた造語ですが、海外では「Property」(投資)と「Technology」を合わせた「Proptech(Property Technology)」という呼称で呼ばれます。かつては「Real Estate(不動産)」という言葉から「Retech」(リーテック)とも呼ばれていました。

不動産テクノロジーとは、多様な情報通信技術と、旧来からある不動産業界のビジネスを融合させた新しい不動産サービスを指す言葉です。事例として上げられるのは、物件情報がまとめられたポータルサイトや不動産のオンライン査定、VRを使った仮想内見、クラウドファンディングによる資金調達などです。

不動産業界がITとの融合で目指すイノベーション

かつての高度経済成長期においては商品を作ればそれだけ売れるという、売り手市場の時代がありました。不動産業界もその例に漏れませんが、少子高齢化や都市圏への人口集中、人手不足など、時代の変化に合わせ、産業も個人のライフスタイルに合わせて柔軟に対応することが求められるなか、不動産業界もその流れに対応すべく、ITとの融合でイノベーションを起こそうという動きが大きくなっています。

不動産テクノロジーが普及してきている背景には、法改正も大きな要因となっています。2018年4月から改正宅建法が施行され、1971年の改正以来です。「対面」による重要事項説明の義務が緩和され、オンラインシステムによる対面を用いない重要事項説明が認可されるようになりました

他の産業と同様に、不動産業界も深刻な人手不足の問題を抱えていますが、不動産テクノロジーの普及は手続きの自動化や効率化を進めて、問題の解決につながることが期待される一方、不動産管理のためのフォーマットが統一されておらず、システムでの対応が難しいという点も指摘されています。また、不動産テクノロジーは不動産取引においてしばしば問題とされてきた不透明性の改善につながることも期待されています