・規制当局オーストリア連邦金融庁(OeBFA)メガバンクOeKBにイーサリアムブロックチェーンを通してオークションするよう指定
・OeKBは260億ドルの保有資産があり、OeBFAの肩代わりをする形で債券を発行した
・ブロックチェーンを用いた債券発行にはセキュリティとコスト削減の両面でメリットがある
2018年9月28日、オーストリア連邦金融庁(OeBFA)は同国のメガバンクのひとつであるオーストリア輸出銀行(OeKB)に対して、11億5000万ユーロ(約1520億円)の国債を、Ethereumブロックチェーンを通し、翌10月2日オークションするよう指定したことが、オーストリア財務省の官報に掲載されました。
OeKBの2017年の保有資産は260億ドル(約2兆9500億円)と言われ、同国内では最大の銀行のひとつです。OeKBはEthereumブロックチェーンを利用した公証サービスを運営しており、今回のオークションではOeBFAの肩代わりをするかたちで債券を出品するかたちとなりました。
Ethereumブロックチェーンを通したオークションは初の事例
OeKBによれば、今回オーストリア政府発行の連邦債券がEthereumブロックチェーンを通してオークションにかけられた事例は、同社の公証サービスとしては初の事例であるということです。一連の手続きは。OeKBが独自開発したシステムを使用し、ハッシュ化したオーストリア・ダイレクト・オークション・システム(ADAS)のデータを公証してEthereumのブロックチェーンに載せる形で行われたということです。
国際的に見れば、債券の発行は現状、既存の形式である紙やトークンの形で行われるものがまだ圧倒的に主流ですが、ブロックチェーン技術を利用することにはセキュリティとコスト削減の両方に大きなメリットがあるとされます。2018年8月には、世界銀行がオーストラリア・コモンウェルス銀行(CBA)と提携、2年間の期限で1億豪ドル規模の債券をブロックチェーンを使って起債したことが報道されています。
OeBFAとOeBKは、ブロックチェーン技術への期待感を持っているとのことで、今後、オーストリアの国債発行の形式がどのようになっていくのか、注目が集まるところです。今回のOeBFAとOeBKの試みが、他の国の政府債券の扱い方にどのような影響を与えていくのかも、興味をひかれるところです。