NASDAQが買収を宣言したCinnoberが金融サービスにもたらしたものとは?

 

仮想通貨市場参入を狙う世界第2位の株式取引所NASDAQが、その事業の皮切りに発表したのがCinnoberという会社の買収計画でした。

・Cinnoberはスウェーデンのフィンテックプロバイダーである
・主力製品のTRADExpressは、世界中の金融サービスで使われている
・仮想通貨カストディアンBitGoと提携、Kingdom Trustを傘下に収め、仮想通貨市場に参戦しようとしている

一体、Cinnoberとはどのような会社なのでしょうか?なぜNASDAQは買収しようとしているのでしょうか?考察します。

Cinnoberが金融サービスにもたらしたもの

Cinnober社はスウェーデンのストックホルムに本拠地を置くフィンテックプロバイダー、つまり金融に関する技術やインフラを開発し、供給する会社です。
1998年に創業して以来、為替の両替や証券の取引などに有用なシステムやソフトを開発し、世界中のブローカーや取引所、銀行や証券会社に提供してきました。

そんなCinnoberの最も有名な商品がTRADExpressです。TRADExpressは、精算、決算、指数計算がすばやく行え、さらにリアルタイムでそれらを監視したり配信したりできます。TRADExpressは世界中の金融サービスで評価され、欧州委員会やドバイ金商品取引所(DGCX)のシステムに採用されています。

これらの商品が評価され、Cinnober は2015年には最も成功しているフィンテックイノベーターを選出する「フィンテック100」にも選ばれました。

仮想通貨に手を伸ばし始めたCinnober

Cinnoberは最近、仮想通貨を取り扱う金融サービスと強固に手を結び始めました。大きな話題となったのが、BitGoとの提携です。BitGoはアメリカ州政府から認可を受けて営業する仮想通貨のカストディアンで、そのセキュリティレベルの高さに定評があります。続いてCinnoberは、仮想通貨カストディアンのKingdom Trustを傘下に置きました。

さらに、老舗の仮想通貨取引所のBitstampとも提携し、仮想通貨取引所に自らの技術を提供し始めています。これらの提携などは、全てここにつながっていたかのような衝撃的なニュースが2018年9月にもたらされました。世界第2位の株式市場NASDAQがCinnoberの買収を計画していると発表したのです。

つまり、NASDAQはCinnoberの技術を使って仮想通貨市場に参戦しようとしているのであって、Cinnoberが仮想通貨企業と提携し続けてきたのはその布石だったのです。