2018年9月21日、韓国省庁のひとつ科学技術情報通信部(Ministry of Science, ICT and Future Planning,MSICT)は韓国国内のブロックチェーンのスタートアップ支援のために42億ウォン(370万ドル)の予算を使っての支援を行うことを約束しました。
MSICTの閔元基次官は先端分野の企業と関係の構築を目指す試みでブロックチェーンのスタートアップとの会談に臨み、通関手続きや家畜の履歴、不動産取引の分野でのブロックチェーン技術の採用について議論しました。
閔元基次官は「政府は韓国企業が世界のブロックチェーン市場をリードできるよう、積極的に支援していく」と語っています。
韓国のブロックチェーン産業の課題
韓国は2017年9月に国内でのICOを禁止するなど、民間での過剰な仮想通貨取引を規制する一方でブロックチェーン事業のほとんどを国の事業にするなどブロックチェーン事業を重要視しています。
しかしそのために政府からの規制など、必要な政策をブロックチェーン事業に講じることができないでいました。
規制をかけた場合に、ブロックチェーン事業そのものを潰してしまう恐れがあったためです。
韓国政府はたびたびブロックチェーン事業の発展を促してきましたが支援の手が及んだのは大企業に限られ、これまで中小企業やスタートアップ事業は対象外とされてきました。
せっかくスタートアップが有用なノウハウやシステムを有していても国として支援ができないことが韓国のブロックチェーン産業の課題として挙げられていました。
韓国のブロックチェーン産業の可能性
MSICTによるスタートアップへの支援は、韓国が並み居る先進国の中でもブロックチェーン技術におけるヘッドライナーになる可能性を示しました。
2018年9月21日に決定した支援の方針には政府と民間が連携してブロックチェーンの開発を進めると明記されています。
新しい技術開発のための仕組み作りが整備されれば、より優れたブロックチェーンの開発ができるほか、海外に対しても優れた競争力を有することができるでしょう。
更に韓国政府は2018年11月7日に、2019年度のブロックチェーン産業の技術と産業に対する予算を2018年度の3倍となる400億ウォン(約3500万ドル)に増額することを発表しています。
またMSICTは2019年度に2018年度の倍となる12のブロックチェーン・プロジェクトを採択し、そのうち3、4つを民間主導のものとする方針を発表しています。
韓国政府は「ブロックチェーンでユニコーン企業が出てくることができると期待している」、「ネイバーやカカオのような企業が出てくるよう支援する」としており、今後のブロックチェーン産業への期待が窺えます。
官民合同でのブロックチェーンの技術開発が、今後の韓国をますます仮想通貨大国へ成長させることでしょう。