ロシアの情報セキュリティ企業が仮想通貨取引の分析ツールを開発




仮想通貨の国際性と匿名性は取引の利便性をもたらすと共に、法的なグレーゾーンを作り出してきました。

2013年には非合法なマーケットプレイス「シルクロード」の管理者であるロス・ウルブリヒトが逮捕されました。

シルクロードでは薬物や銃器、クレジットカード情報などをBitcoinを使って売り買いしており、一連の事件の報道は決済システムとしての仮想通貨に大きな汚点を残しました。

仮想通貨を用いた犯罪は、情報を断片的にしか入手できず、立件になかなか至らないのが現状です。

そこで2018年8月、ロシア連邦の金融監視サービス(FMS)はモスクワの情報セキュリティ企業Moscow Institute for Security and Information Analysis(SPI)に仮想通貨取引の分析ツールを発注しました。

情報セキュリティ企業SPIについて


ロシアの情報セキュリティ企業Moscow Institute for Security and Information Analysis(SPI)は分析ツールなどを主に開発する企業で、多くの開発実績を有しています。

日本でも馴染みのある製品としては、ロシアの治安部隊や法執行機関、保険会社などでも幅広く使われる「iRule」が挙げられます。

ロシアのFMSはSPIと約1億9500万ルーブル(約290万ドル)もの契約を交わして、Bitcoinを始めとする仮想通貨取引の追跡が可能な分析ツールの開発をさせました。

この分析ツールでは仮想通貨取引の追跡だけでなく、取引を行った個人の名前やカード情報、銀行口座、携帯電話の番号やウォレットに割り当てられた番号なども把握できると公表されています。

ロシアの仮想通貨への態度


分析ツールを導入して仮想通貨取引を監視しようとするロシアの動きはさほど不自然なことではありません。

ロシアは薬物や偽造文書などの取引に仮想通貨が使われることを強調しており、過去には「仮想通貨の使用は取引が違法であると認める根拠となりうる」とも発言しています。

実際に現在仮想通貨を用いた犯罪取引は、かつての「シルクロード」のような違法な物品の売買から、麻薬カルテルなどの犯罪組織による資金洗浄や国際取引が多くなっています。

SPIの開発した分析ツールは従来は断片的にしか入手できなかった違法取引の情報をより幅広く手に入れることが可能となり、仮想通貨をきっかけに関連した事件や違法行為の立件ができるようになるとみられています。

ロシアでは仮想通貨に対する法整備が急速に進められており、今後この分析ツールが有効に用いられるのではないかと考えられます。