MIT(マサチューセッツ工科大学)研究者・Robleh Aliが手掛けた中央銀行の仮想通貨発行とは?

Robleh Ali氏はMIT(マサチューセッツ工科大学)のMediaLabのDigital Currency Initiativeで活躍している科学者・研究者です。また以前はイングランド銀行の暗号技術専門家として仮想通貨発行の開発を行っていた経歴を持っています。

この記事のポイント

・Robleh Ali氏の研究テーマ
・国際決済銀行の見解は?
・Robleh Ali氏が語る仮想通貨の在り方とは?

Robleh Ali氏の研究テーマ

テーマのメインは、『取引仲介を行う金融機関システムの外部分で法定通貨がいかにデジタル発行できるか、その際の通貨発行権を有する中央銀行の役割とは何か』の究明です。そして目指すところは、通貨発行のシステムを変える事によって、現在の金融システム全体を根本的に変革することです。

最近のメインの研究課題として、Robleh Ali氏は中央銀行であるイングランド銀行のデジタル通貨発行をテーマにしています。彼の見解としては、中央政府が発行するデジタル通貨を考える場合に、必ずしもブロックチェーンシステムによる通貨である必要はないと述べています。ポイントは流通させる目的を明確にさせる事、それに適したシステム通貨・デジタル通貨を当てはめる開発プロジェクトが正解だと主張していました。

国際決済銀行の見解は?

2018年4月のG20前に、国際決済銀行の意見としては『中央銀行の仮想通貨発行はテロとマネーロンダリングの温床となるリスクを抱えている』というものでした。これは通貨を管理監督する中央集権を持たない仮想通貨は法定通貨たり得ないとの主張で、イングランド銀行が仮想通貨を発行する行為に苦言を呈しています

一方で、元米国連邦準備銀行役員であり国際決済銀行のデジタル通貨アドバイザーとして働いているギャレット氏は、『テロとマネーロンダリングの温床となっているのは現行の法定通貨で、それは中央銀行が発行している通貨なのである』との反論をしています。

Robleh Ali氏が語る仮想通貨の在り方とは?

現在の仮想通貨が有益な流通性を発揮できないのは、『単に投資対象となっているからで、コインユーザーの誰もが次のGoogleを探しているからに他ならない』ということです。本来の利用メリットを生かしたローカルビジネスへのサポートなどにICOが行われるならば、出資する側もされる側も安定的な利を得る事ができると主張しています

仮想通貨は通貨として機能していませんが、仮想通貨で開発されるシステムの数々は将来的に金融システムを大きく改善するでしょう。イングランド銀行のデジタル通貨の行方が今後も注目されます。