電気料金が安いプラッツバーグ
ニューヨーク州プラッツバーグは、アメリカとカナダの間にある小さな町です。
同市の近くには、ナイアガラの滝があります。滝を利用した水力発電を行っているため、ほかの地域に比べると電気料金が割安です。
アメリカの平均的な工業用電気料金は7~8セント/kwhですが、同市は5セント/kwhです。
電気料金が安い同市は、大量の電力を必要とする商業仮想通貨マイニングの運営に最適の地域でした。そこで、商業仮想通貨マイニングが続々と移住してくるようになりました。
コリン・リード市長は、「現在、私たちの電力供給の15%は、大規模な商業仮想通貨マイニングによって使用されている」と語っています。
地域住民の電気料金が割高に
商業仮想通貨マイニングが増えたことで、プラッツバーグの電気消費量は激増しました。
ニューヨーク州の広報は、「商業仮想通貨マイニングは、平均的な一般家庭の数千倍以上の電力を使用している」と語っています。
市の電気消費量が割りあて分を上回った場合、市場から割高の電力を購入する必要があります。電力供給のコストが増えたため、市民の電気料金は一気にハネ上がりました。
コリン・リード市長によると、「電気料金が100ドル~200ドル値上がりした」とのことです。
同様の問題は世界各国で発生
プラッツバーグ市議会は、「商業仮想通貨マイニングを18ヶ月禁止する」とする決議案を可決しました。この決議は新しい商業仮想通貨マイニング事業を禁止するもので、今ある事業所は対象外です。
同市は、市民の電気料金を安く保ちつつ企業を誘致できるよう、市民や商業仮想通貨マイニングと話し合う予定です。同市だけでなく、同様の問題は世界各国で起こっています。
たとえば、中国は大規模なサーバーファームへの電力供給を停止し始めました。また、カナダのケベック州は、水力発電の開発を求める商業仮想通貨マイニングの要求をはねつけました。
一方、石炭といった資源が豊富で経済発展を望む「新疆」「モンゴル」などは、商業仮想通貨マイニングを歓迎しています。
まとめ
仮想通貨事業で経済が潤うこともあるでしょうが、プラッツバーグのように住民に負担がかかることもあります。また、環境への影響も懸念されています。
経済学者のアレックス・デ・フリース氏は、「ビットコインのマイニングに使われる電力は、2018末に世界の電力消費の0.5%を占めるようになる」と発表しています。
周辺住民や環境に優しい仮想通貨を実現するため、新しいテクノロジーの開発が望まれますね。