J.P,Morganのブロックチェーン決済プロジェクト

この記事のポイント

・JPモルガン・チェースがANZ・カナダロイヤル銀行と提携して進めていた決済実証実験プロジェクト「INN」に世界75の銀行が参加
・日本からはみずほ・りそな・三井住友の三行が参加
・「INN」は銀行間取引における手続き時間やコストの大幅な短縮に期待

2017年10月にJPモルガン・チェース(J.P,Morgan)がオーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)・ロイヤル・バンク・オブ・カナダと提携、3社合同で進めていた大規模ブロックチェーン決済実証実験プロジェクト「INN(Interbank Information Network)」に、日本の3つの銀行を含む世界75の銀行が新たに参加することがわかりました

現在の銀行間取引では、銀行毎に手続きのフォーマットが異なるため、複数の銀行間での取引処理に数週間を要することも珍しくはありません。このプロジェクトは、そうした従来の銀行間取引にかかる時間およびコストの削減を目標に開始されたものです。

「INN」は、JPモルガンがEthereumをベースに開発したブロックチェーン・ネットワーク「Quorum」(元々は分散システム上で分散トランザクションの処理に必要となる最低限の票数のこと)上で動くプラットフォームで、ネットワークに参加している銀行や企業を個別に切り離せることを特徴としています。

日本からは三つの銀行が参加

今回、Financial Times (JT)などの報道機関やCoinPost誌による調査によってINNに参加することが判明した銀行は全部で75行、フランスのソシエテ・ジェネラルやスペインのサンタンデール銀行などが名を連ね、日本の銀行ではみずほ銀行、りそな銀行、三井住友銀行が参加しています。

JPモルガンのINNプロジェクトに、多くの銀行が参加することを決めた背景には、銀行以外の金融会社(ノンバンク)の決済サービスへの参入が増加していることがあると考えられます。現状の銀行間取引の処理に要する時間は大きなネックとなっており、ノンバンクの市場参入は銀行にとっては大きな脅威となることは間違いありません。

INNには、決済のエラーやコンプライアンスなどが原因で起こった問題への対処能力が特徴となっています。当初プロジェクトに参加していた3つの銀行で発生していた1日の処理量は14500ドルとわずかですが、今回参加行が大幅に増えたことで処理量が拡大するものと思われます。