多国籍銀行であり、大手金融サービス会社のING銀行が、ゼロ知識証明の進化版であるゼロ知識範囲証明をリリース


この記事のポイント
1.オランダの多国籍銀行ING銀行が、ゼロ知識証明の進化版を発表
2.ゼロ知識範囲証明とは何か
3.ZKSMの可能性

1.オランダの多国籍銀行ING銀行が、ゼロ知識証明の進化版を発表

オランダの多国籍銀行であり大手金融サービス会社であるING銀行が、金融業界のカンファレンスである「sibos」でZKSM( Knowledge Set Membership)を発表しました。このZKSMは日本語で「ゼロ知識セットメンバーシップ」と呼ばれ、特定のデータの検証を提供することを目的としています。ZKSMは、従来のゼロ知識証明の技術をさらに進化させたものであり、金融サービスに置ける様々なサービスを簡略化できるとして期待されています。因みに従来のゼロ知識証明は、内容が正しいという事以外の情報を相手に与えることなく、秘密情報をキープしたまま、内容が正しいことを証明する方法のことです。

2.ゼロ知識範囲証明とは何か

従来のゼロ知識証明を進化させたZKSMの素晴らしい所は、数値が適用範囲内にあるかどうかを、詳しい情報を開示させずに判断することができる所にあります。例えば、銀行や金融サービスなどで融資の申し込みをする時、一般的には収入額を提示しなくてはなりませんが、ZKSMを使えば、収入額を提示しなくても収入額がローンの審査基準をクリアしている、つまり合格範囲内にあることを証明出来ます。またこの技術を使えば英数字のデータを位置情報に変換して、検証することも出来ます。例えば、申込者が本人確認のために住所を提示する必要がある場合、従来だと住所を記入、もしくは入力する必要がありましたが、ZKSMを使えば、申込者が住所を明かすことなくそのエリアに住んでいることを証明することが出来ます。

3.ZKSMの可能性

ING銀行のイノベーション担当であるAnnerie Areugdenhil氏は、「ZKSMをオープンソース化することは、分散元帳技術を使い、データとプライバシーを処理する方法を理解する第一歩となる」とコメントしています。出来るだけ競合他社に情報を開示せずにサービスを顧客に提供したいと思っていた銀行や金融サービス会社にとって、ZKSMは将来有望なサービスになり得るとして、多くの企業から期待されています。銀行や金融サービスに限らず、世界中の企業が自社のサービス提供を円滑に行うためにブロックチェーンの利用に動いており、この波はまだまだ続くでしょう。