米ドルやユーロなど法定通貨の価格と固定した価格を持つ仮想通貨を発行・管理するテザー社

 

テザーは、米ドルなど法定通貨を基軸にしたステーブルコインを発行・管理する企業です。世界で初めてユーロを基軸としたテーブルコイン「EURT」を発行したことでも知られています。

テザー社について

・法定通貨の価格に固定された仮想通貨
・仮想通貨と同量の法定通貨を準備金として保有
・消えない疑惑

法定通貨の価格に固定された仮想通貨

香港とアメリカにオフィスを構えるテザー社は、米ドルやユーロなど法定通貨の価格と固定した価格を持つ仮想通貨を発行・管理しています。通常、ビットコインなどの仮想通貨の価格は独自に形成されるもので、他の通貨とのレートは常に変動するのが特徴です。ところが、テザー社が発行する「USDT」や「EURT」は、需要と供給のバランスによって多少の誤差は生じるものの、米ドルやユーロと基本的には同じレートになります。

仮想通貨と同量の法定通貨を準備金として保有

では、なぜ価格が固定できるのかというと、テザー社は発行するUSDTやEURTと同じだけの米ドルやユーロを準備金として保有しているからです。そのため、米ドルやユーロより価格が上昇することも下落することもありません。テザー社の資産という裏付けがあるために、発行される仮想通貨の信頼性も保たれています。ただ、テザー社が本当に発行する仮想通貨と同量の法定通貨を保有しているかどうかは、テザー社が自ら公開するデータ以上の証拠がないため、結局はテザー社自体への信頼で成り立っていると言えるでしょう。

消えない疑惑

テザー社の発行するUSDTは、価格が安定していることのほか、米ドルより送金が簡単にできるということで、世界中で利用されています。取引所間の移動にUSDTを用いれば、わざわざ米ドルに換金して銀行口座を経由させる必要がありません。こうした利便性ゆえ、ビットコインの取引高のうち、全体の約15%をUSDTが占めるまでに至っています。しかし、2017年ごろから、テザー社は本当は裏付けとなる資金を持っていないのではないかと疑惑が持たれているのも事実です。テザー社はこれまで何度も疑惑の解消に務めてきましたが、決定的な証拠を提出することなく、2019年3月時点においても新たな疑惑の火種がくすぶっています。もし疑惑が本当ならば、テザー社に対する信頼が失われるだけでなく、ビットコインなどのすべての仮想通貨に対する不信感に発展する恐れがあります。市場崩壊さえ危惧されている状況ですので、テザー社の仮想通貨への投資は慎重な姿勢で臨むべきでしょう。