IT企業DELLがインドのサーバー市場での覇権獲得のため、ブロックチェーン技術への投資を決定

この記事のポイント

・DELLがインド市場でブロックチェーンを応用する技術への投資を発表
・テランガーナ州が民間のブロックチェーン企業と覚書を交わす
・インド政府は仮想通貨とブロックチェーン技術に対し厳しい姿勢を見せている

2018年9月、インドのサーバー市場でアメリカの大手PCメーカーDELLが、シェアを大幅獲得するため、ブロックチェーン技術への投資を行うことと発表しました。

IT企業DELLの2018年第2四半期の売上高は229億4200万ドルですが、うち51億ドルの売上が、ネットワーキングとサーバービジネスによるものです。インドのサーバー市場でのマーケットシェア率は2018年第1四半期で前期の19.4%から28.3%と大きく伸び、収益も第2四半期では34%の上昇が見られるなど、目覚ましい成長を見ることができます。

DELLは重要視する分野としてブロックチェーン、AI、データ分析、クラウドコンプライアンスの4つをあげて力を入れており、ブロックチェーンにおいては、新たにサポートを拡大したサーバーを立ち上げて、技術利用の拡大も図られています

DellEMCインディアのシニアディレクターManish Gupta氏は、インドにおける新しい技術の需要がIT関連サービスと銀行・金融・保険からの需要が高く、さらに政府の需要が非常に高いとして、インド市場で今後更にDELLのマーケットシェアが伸びる可能性を示唆しています。

ブロックチェーン技術への関心から、多くの世界的大企業が2018年以降、投資を行うケースが増えています。アメリカの大手PCメーカーであるDellの今回の投資は、同市場の動向に大きく影響を与える可能性が高く、注目が集まるところですが、インド国内の状況を見ると、将来的展開は不透明であるとも言えます。

インド政府と市場におけるブロックチェーンへの姿勢に乖離

インドの市場ではブロックチェーン技術への関心が集まり、技術導入が進んでいます。2018年7月にはインドのテランガーナ州が、ブロックチェーン企業と州政府のサービスに技術導入のための覚書を交わしました

しかし、インド政府はブロックチェーンに対する厳しい姿勢を見せています。インドの最高裁判所は2018年7月に中央銀行による仮想通貨禁止令に対する差し止めの訴えを却下、10月末にはインド財務省経済局の長官が民間の仮想通貨の使用を禁止すべきとの勧告を行っています。

インド政府の仮想通貨規制の姿勢は強まっていますが、2018年12月現在、いまだ具体的な規制内容は固まっていません。12月中には規制内容が明確化されるとの情報もあり、今後の動向に注意が必要です。