航空交通管理にブロックチェーン技術を採用するアメリカの政府機関「アメリカ航空宇宙局(NASA)」

 

さまざまな計画がありながら、なかなか大規模なプロジェクトが実行されるに至るには困難が多いブロックチェーン技術ですが、アメリカの政府機関、アメリカ航空宇宙局(NASA)が、ブロックチェーン技術を航空交通管理に導入する計画を発表しました。

NASAの導入するブロックチェーン技術について

・航空交通管制の新システムADS-Bに導入
ledger Fabricという許可制のブロックチェーンを採用
・宇宙開発にも活用予定のブロックチェーン技術

航空交通管制の新システムADS-Bに導入

2019年1月に発表された公式文書によると、NASAがブロックチェーン技術を航空交通管理に導入することを検討していることがわかりました。広大な空を飛ぶ航空機は地上の車より安全性が高いですが、空には信号機を設置できないこともあり、安全に飛行するには地上からの管制情報がとても重要です。そこで、NASAは航空交通管制にADS-B(Automatic Dependent Surveillance – Broadcast)という新しいシステムを2020年に採用することを決めました。このADS-Bというシステムは、GPS情報をもとに航空機自体がさまざまな情報を発進するためのものです。GPS情報がベースなので補助的な役割ではありますが、航空機が得られる情報が飛躍的に増えることは確実です。ただ、発信される情報のみでは、それが当の航空機によるものか保証が得られないため、セキュリティ認証のためにブロックチェーン技術が導入されることになりました。

Hyper ledger Fabricという許可制のブロックチェーンを採用

ブロックチェーンといえば、不特定多数が自由にネットワークに参加できるビットコインやイーサリアムのような仕組みを思い浮かべそうですが、今回、NASAが導入する技術は「Hyper ledger Fabric」という許可制のブロックチェーンです。誰でも参加できるネットワークの場合、いろんな航空会社や軍の情報が記録されてしまいますが、Hyper ledger Fabricではネットワークに参加するユーザーを限定できるため、航空交通管制という用途に適しています。

宇宙開発にも活用予定のブロックチェーン技術

ADS-Bの採用は2020年の予定ですが、このほか、NASAでは、宇宙環境で使用するネットワークにブロックチェーン技術を用いた事例を発表しています。さまざまな分野に応用できるブロックチェーン技術ですので、今後もさらに大きなプロジェクトが生み出されるでしょう。