食品製造にもブロックチェーン技術を応用したグスタフ・ゲーリッヒ

 

この記事のポイント

■グスタフ・ゲーリッヒはスイスの食品会社
■ブロックチェーン技術を使うことで、顧客がマグロの出所を確認できるシステム
■製品の缶詰にQRコードが添付

グスタフ・ゲーリッヒとは

グスタフ・ゲーリッヒとは、もともとはドイツで創業された食品製造会社ですが、現在ではスイスを拠点に活動を行っています。このグスタフ・ゲーリッヒ社はマグロの製造加工を行い、缶詰などの商品として出荷していますが、世界中から注目されています。その理由は、グスタフ・ゲーリッヒ社が食品製造加工のプロセスにブロックチェーン技術を用いたからです。

マグロのマーケティング会社と提携して開発

グスタフ・ゲーリッヒ社は、マグロの世界的なマーケティング会社として知名度が高いパシフィカルc.v.社と提携して、缶詰という製品になっているものの原料に使われているマグロの出所を、消費者が確認できるシステムを開発しました。ブロックチェーン技術をグスタフ・ゲーリッヒ社自体は持っていなかったため、タイを拠点とするアタト社が実際にブロックチェーン技術の実装を行いました。ちなみに、アタト社は、企業向けの分散型アプリの構築などを行うブロックチェーン技術のサービスプロバイダーとして活動しています。

グスタフ・ゲーリッヒ社のブロックチェーン技術を用いると、消費者は缶詰に印刷されているQRコードを使うことによってそのマグロがどこからやってきたものなのかという情報を知ることができます。ただ水揚げ国や場所が分かるだけではなく、そのマグロが環境持続性を保って捕獲されたのかどうか、捕獲した船名や船長の名前、捕獲時期、捕獲した方法、海域、加工地、加工日など、細かい情報が一目で入手できる便利なシステムとなっています。

食品製造加工業界にもたらすメリットは多い

グスタフ・ゲーリッヒ社のこのシステムは、マグロ以外の食品加工製品にも適用することが可能です。QRコードが添付できる商品なら、缶詰以外にも袋に入った製品やパックに入った製品などが対象となるでしょうし、顧客はスマホのアプリを使って簡単にその原料についての情報を入手できるようになります。

こうした食品製造加工業界にブロックチェーン技術が導入されることによって、業界が得られるメリットや、消費者が得られるメリットは大きいでしょう。原料の一つ一つに透明性が高くなりますし、原料を供給する側や製造加工を行う側にとっても、消費者からの信頼を得られることが可能になります。また、公平性やセキュリティの面でも高まることが期待されているので、今後はどんどんブロックチェーン技術が食品業界に浸透してくることでしょう。