ビットコインの非中央集権性と課題|少数派ルールの非対称性

ビットコインをはじめとする仮想通貨は非中央集権が可能な通貨として大きな注目をあびました。

しかし現状ではビットコインの動向には取引所の影響が非常に大きく、一部の仮想通貨においてはプロジェクトリーダーの影響も受けています。

またビットコインは政府のない通貨として、世界中のどこでも両替の必要がなく使え、政府の介入によって管理されない点が魅力です。

しかし管理者がいないため、ビットコインの大量保有者が実質的に大きな権力を握ったり、ゼロインテリジェンスなど独自のシステムでランダムにトレードをすることによって政府のない通貨の弱点も見えてきています。

ビットコインは今後、ゼロインテリジェンスや政府のない通貨としての課題をどのように乗り越えて行くべきなのでしょうか。

 

少数派ルールの非対称性の特徴

ビットコインをはじめとする仮想通貨は、各国の中央銀行のような管理者のいない自由な通貨であると言われていましたが、多くの人が関わるようになるとやはり権力が集中してしまいます。

例えば仮想通貨は利用者全員で一つのコミュニティを築き、全員で管理をするという非中央集権の考え方で捉えられますが、実際にはこのコミュニティは公平ではありません。

特にビットコインは流通量の40%を1000人程度で所持していると言われており、どうしても彼らの力が強くなってしまうのです。

もし、この1000人が一度にビットコインを売ってしまった場合、価格の大暴落が考えられます。

これでは非中央集権とは言えず、権力の集中する場所が変わっただけなのです。

またいくつかの仮想通貨に関してはプロジェクトリーダーが多くの情報を握っている状態で、そこにも権力が集中していると言えます。

ビットコインは、他の仮想通貨と比べるとプロジェクトリーダーによる情報の非対称性は少ないと言われていますが、全くないとは言い切れません。

これは各国の中央銀行が通貨の流通量を管理するのと同様に権力を握っていると評価されています。

取引所への集中

現在、仮想通貨は取引所を通しての売買が一般的です。

特にビットコインはほとんどの取引所が取り扱っているため、多くの人が取引所を利用しています。

取引所自体が仮想通貨を売っているのではなく、仮想通貨をプールしておく場所で、売りたい人が売った仮想通貨を取引所でプールし、買いたい人がそこから買っていくという売買の方法を取っています。

買い手は自分が購入した仮想通貨がどのようなオーナーの手元にあったのか知ることはできません。

全ては取引所が管理・確認している個人情報に頼るしかないのですが、それは利用者自身が提出しているものです。

そういった意味では現在仮想通貨は取引所を中心に権力が集中していると言え、一度取引所がハッキングにあえば大規模な損失を出してしまうのです。

ビットコインの今後の課題

今後、ビットコインをはじめとする仮想通貨を本当の意味で非中央集権にするためにはどうしたら良いのでしょう。

まずは情報の非対称などイビツな形で存在しているコミュニティを、健全な形で運営していけるよう多くの人が歩み寄る努力をしなくてはいけません。

それにはお互いが信頼関係を築くことが重要です。

また、取引所に権利が集中することを防ぐにはプラットフォームの活用が一番です。

プラットフォームでは個人間で取引が可能になりますが、資金洗浄の可能性など信用の問題が完全にクリアにならなければ大きなリスクをなります。

しかし、多くのプラットフォーム開発者は、仮想通貨の非中央集権を実現させようと開発に力を入れています。

2018年内に提供開始予定のプラットフォームOxygenでは、投資家の買い戻し契約が可能になるなど、信用・信頼性に高いプラットフォームとなる予定です。

Oxygenとは?
仮想通貨のレポ取引(貸借取引)が可能なプラットフォーム。また空売りも可能になる予定

設立者は元ゴールドマンサックスの銀行員であるアレックス・グロブネフ氏で、プラットフォームにおいては暗号技術が重要であると考えています。

通常、プラットフォームでは暗号システムを借りていることが多いのですが、グロブネフ氏はChangellyという仮想通貨交換所も開設しており、同じ暗号システムを用いることで費用を押さえた上で信頼性を得ました。

Changellyとは?
チェコ共和国に拠点を置く仮想通貨交換所。取引所と違い、仮想通貨を別の仮想通貨に両替する際に、法定通貨に一度交換する手間がなく手数料の二重払いの必要がない。

このようなプラットフォームが増えていけば非中央集権が進み、仮想通貨があるべき姿になると言われています。

 

政府のない通貨やゼロインテリジェンスについて

ビットコインなど仮想通貨は政府に管理されず、両替不要で国境の壁がない」として今後、より一層普及することが考えられます。

また投資の中でも特に仮想通貨では、ゼロインテリジェンスと呼ばれる合理性や様々な情報からかけ離れた動きをする投資家の存在は無視できない上、注文を独自のシステムを利用してランダムに行うため、予測が難しいのが実情です。

政府のない通貨をより広めるために、ゼロインテリジェンスで投資をする投資家も多いので、価格の乱高下のリスクを減らして行く必要があります。

最後に

2009年に運用が開始されたビットコインの価格は当初と比べ大きく値上がりし、想定外の問題も発生しました。

特に全体の40%を所有する1000人の存在は、政府のない通貨でありながら政府のような管理者を作り出してしまいました。

またゼロインテリジェンスの問題もあり、今後の動向も読見づらく、明日、急に大暴落することも考えられるのです。

ビットコインは知名度も高く信頼性が高い仮想通貨ですが、他の仮想通貨にはないリスクも存在することを理解しておかなければいけません。