オーストラリアの規制当局ASICはICOをどう規制する?

仮想通貨が世間の注目を集める中、仮想通貨と共に投資家の関心を引くのがICOです。

ICOは簡単に資金を集められる一方で詐欺案件も多く、世界各国が頭を悩ませています。

アメリカは仮想通貨を証券とすることでICOをSEC(アメリカ証券取引委員会)の管轄下に置き、投資家の保護をしようとしています。

Bitcoinの国別取引高で14位に位置したことのある、隠れた仮想通貨大国であるオーストラリアでもASICという機関が、ICO対策に乗り出しています。

ASICとは?


ASICはAustralian Securities and Investments Commissionの略で、日本語では「オーストラリア証券投資委員会」と言います。

1998年にそれまでのASC(オーストラリア証券委員会)から改称し、2001年にオーストラリア証券取引委員会によって権限が確定されました。

ASICは会社法や保険契約法、全国消費者信用保護法などの法律に従ってオーストラリア国内の企業や貿易、金融サービス、保険、消費者保護などを管理、監督しています。

金融市場を適切な運営に導くことで、オーストラリア経済の順調な成長に貢献することを目的としています。

ASICの示したICOへのガイドライン


ASICは2017年9月にICOへのガイドラインを発表し、2018年5月に更新しました。

ガイドラインではICOの大半は規制されておらず、詐欺案件も多い非常に投機的でリスクの高い投資であると言われています。

投資を検討する際には詐欺でないことと確かめるためにホワイトペーパーをよく読み、ソーシャルメディア上の情報を鵜呑みにしないことが示されました。

またこのガイドラインではICOが会社法によるオーストラリアの消費者保護への慣行の範囲内で対処ができると明言しています。

ICOはそのホワイトペーパーの内容によって「集団投資スキーム」、「株式」、「デリバティブ」、「現金以外を用いた支払いファシリティ」のどれかを提供するものだと見なすことができ、それぞれに会社法による規制が働きます。

ASICはこのガイドラインを発表することで、ICOへの規制を強めています。

ASICによるICOへの実際の規制


オーストラリアは国内最大手の仮想通貨取引所「BitTrade」とブロックチェーン企業の「Emparta」が協力して、オーストラリアドルと価格を連動させたステーブルコインを作ろうとするなど、仮想通貨に対して先進的な国のひとつです。

ただASICの示したガイドラインによって2018年9月時点で、オーストラリアではInvestors Exchange Limited(IEL)というファンドによるものを含め5つのICOが差し止められています。

ASICは差し止めに際して「協力的なアプローチである」とし、解決可能な問題であることを強調していますが投資家保護を念頭に置いたASICの規制が今後どのように影響を与えるかは注目が必要でしょう。