Aurora Labs S.A.が運営する分散型仮想通貨取引所「IDEX」

 

非中央集権型の仮想通貨取引所「IDEX」を運営するのが、パナマを拠点とするAurora Labs S.A.という企業です。IDEXは分散型取引所を名乗っていますが、実は中央集権型の取引所が採用する仕組みも併用しています。

Aurora Labs S.A.のIDEXについて

・分散型管理により従来のリスクを低減
・中央集権型のシステムも併用
・現状の技術の限界

分散型管理により従来のリスクを低減

従来の中央集権的な取引所の課題を解決するために開発されたのが「IDEX」です。これまでは、運営を司る企業が中心となって取引所のシステムを運営してきましたが、限られた人数ですべてを運用することは困難で、不具合が起こってサービスを停止せざるを得ないことが起こってきました。たとえば日本国内の取引所を利用される方なら、一時的に取引所のサービスを利用できなくなった経験がおありでしょう。また、コインチェック事件に代表されるように、ハッキングへの防御体制が十分でないという弱点もありました。それらの課題を解決するために開発されたのがIDEXです。データを分散して管理するため、その全部を改竄することは不可能に近く、ハッキングのリスクが限りなく低くなっています。また、中央の管理主体がいないため、取引手数料を安くできるのもメリットです。こうしたことから、IDEXは一気に知られるようになりました。

中央集権型のシステムも併用

実は、分散型の管理が売りであるIDEXにも、中央集権型の取引所の仕組みが利用されています。たとえば、IDEXには取引エンジンというシステムが実装されていますが、これは中央集権型の取引所が採用するシステムです。このシステムにより、イーサリアムのネットワークにデータが記録される前に、ユーザーは取引できるようになっています。一方、秘密鍵がないと取引が実行できないように、分散型の特徴であるユーザーが決済や資金の管理をコントロール下に置けるというメリットもあるのです。このようなハイブリッドのシステムにより、IDEXでは高いセキュリティを保ちながら中央集権型の取引所と同等のスピードで取引ができるようになっています。

現状の技術の限界

しかし、署名済みの取引をイーサリアムのネットワークに提出できるのはIDEXだけです。そのため、規制の厳しいアメリカのワシントン州やニューヨーク州からのIPアドレスをブロックする措置を取るなどしていますが、それが現状の技術の限界を示しているのかもしれません。今後、技術開発がさらに進めば、完全な分散型取引所の登場も期待できるでしょう。