お金といえば、1万円札、千円札といったお札や、500円玉、100円玉などの硬貨を思い浮かべますよね。通常、銀行に預けたり、銀行から引き出したりするお金は、目に見えるお札や硬貨です。
しかし将来のお金は、目に見えるものでなく、データとして存在する通貨、つまりデジタル通貨になるかもしれません。
私たちが銀行に預けるお金が、デジタル通貨になると、今の銀行にとっては脅威となります。
イングランド銀行は、2018年5月発行のスタッフワーキングペーパーで、「中央銀行によるデジタル通貨の採用(CBDCs)は、市中銀行へ脅威を与える」と発表しました。では、デジタル通貨の普及は、既存の銀行にとって、どのような脅威となるのでしょうか。
銀行が儲かる仕組み
そもそも、現在、私たちが良く知っている市中銀行は、どのようなビジネスモデルを構築しているのでしょうか?
市中銀行は、個人および企業による当座預金や普通預金にによって成り立っています。
私たちは、市中銀行にお金を預けていますが、市中銀行はそのお金を、企業や個人に貸付け、返済時に元金と合わせて利子を受け取ることで、利益を上げています。預金者の預金に対して支払う利子よりも、貸付で得る利子の方が大きいから、銀行は収益が出ているのです。
デジタル通貨のメリット
今後デジタル通貨が普及していくと書きましたが、ではデジタル通貨のメリットは何でしょうか?
デジタル通貨による預金は、普通の預金よりも安全な保管方法と言われています。
デジタル通貨は、実体として存在しないので、銀行強盗よって盗まれる心配がないのです!
また、支払いのときにいちいち紙幣や硬貨を出す必要は無くなり、買い物での支払いの煩わしさは解消されます。将来的には、財布を持ち歩く必要がない社会が到来するかもしれません。
銀行が不要になる?
デジタル通貨が、現在の法定通貨の役割を果たすようになると、どうなるでしょうか。
今までは、お金が紙や硬貨として、実体のある物だったので、特に大金となると手元で管理するのが大変でした。だから銀行に預けていたんですね。
でも、デジタル通貨は、実体として存在していないので、既存の市中銀行にいちいちお金を預ける必要無いのでは?と人々は考えるでしょう。銀行は不要だという意見が出てきてもおかしくないと思います。
先ほど、市中銀行は、預金者から預かったお金を貸し出すことで利益を上げていると書きました。もし、お金を預ける人がいなくなると、既存の市中銀行のビジネスは成立しなくなるのです!!
また、投資家にとっては、デジタル通貨を持っておく方が、銀行に預金するよりも投資対象として魅力的に感じるという情報もあります。そうなると、ますます市中銀行にとって、今までのビジネスで収益を上げることは厳しくなります。
デジタル通貨の将来は?
イングランド銀行は、スタッフワーキングペーパーを発行し、その中で、デジタル通貨についての様々なリスクや分析に関する記事を掲載しました。
この記事の内容ですが、簡単に言うと「デジタル通貨が導入されても経済には影響無し!」と言っています。
また、イングランド銀行のマーク・カーニー総裁は、中央銀行によるデジタル通貨の採用について、寛容的な態度を示しました。
中央銀行の総裁が、デジタル通貨を受け入れるということは、今後ますますデジタル通貨が普及していく可能性が高いのです。
まとめ
もし、中央銀行がデジタル通貨を採用すると、お金の在り方が変わることはもちろんですし、それによって今の銀行の形も変わるかもしれません。日本でも、日本銀行によるデジタル通貨の発行が検討されているとの報道もあります。
個人的には、より便利な社会になっていくのではないかと思っているのですが、どうなるのでしょうか。
デジタル通貨について、今後の動向に注目していきましょう!